君と描きたい未来がある (ページ3)

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episode１★｡.* ページ3

廣瀬side

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廣｢やば、遅れるっ……｣

左腕に巻かれていた時計が、バイトの時間まで残り5分を示す。

またやってしまった。夢中になるといつもこうだ。

私はカバンにノートや教科書を詰めながら、早歩きで校門に向かった。

ドンッ……！

？｢わっ、｣

バサバサバサ……。

……あぁ、ついてない。

ぶつかった男の子と私の荷物が、ごちゃ混ぜになって地面に散らばった。

？｢ごめん！｣

廣｢すみません！｣

私は急いで自分の物だけを掻き集め、すぐにその場を立ち去った。

？｢あ、待っ────｣

彼のその声に気付かずに。

廣｢すみません、遅れました…｣

幸いバイト先は学校から数分の場所にあるため、大遅刻は免れた。

帆｢おつかれヒロインちゃん。今日はぎりぎりアウトだね。｣

バイトの先輩の郁人さんが、皿を洗いながら笑って言う。

廣｢すみません。店長は？｣

帆｢買い出し中。運が良かったね。｣

中途半端な時間帯の今は、客が少なかった。

これも運が良い。今日はついているのかも。

そう思いながら更衣室に向かい、バイトの制服に着替えた。

廣｢あっ……｣

バッグを開いた時、やっと気付いた。

廣(スケッチブックが……)

学校を出る時確かにバッグに入れたはずの、スケッチブックが無い。

どこで無くしたかは分かる。

おそらく、校門前であの人とぶつかった時。

そう言えば呼び止められた気もしないでも無いけど……。

廣(最悪……)

急いでいたせいで、相手の顔なんて見ていなかった。

それは相手も同じだろう。

『ごめん！』

廣(でもあの声……)

どこかで聞いたことがあるような……。