episode18★｡.* ページ20
廣瀬side
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廣｢……よしっ。｣
玄関で黒のスニーカーを履き、鏡で前髪を整える。
今日は霧野くんと出掛ける日。
友達とどこかに行くなんて数年ぶりだから、少し緊張する。
デニムの短パンにロゴが入った白いTシャツを入れ、生地が薄めの裾の長い青のシャツを羽織り、黒のキャップを被る。
肩にギリギリ触れるくらいの短い髪は低い位置で三つ編みにして、小さな黒いバッグを肩から下げた。
廣｢行ってきます。｣
誰もいない家にそう呟き、私は玄関のドアを開けた。
駅に向かって歩きだそうとした、その時。
三｢ヒロイン…？｣
廣｢！｣
……最悪だ。
今1番会いたくない人。こんな格好でいたら、捕まるに決まってる。
遅刻するのは覚悟しておかないと…。
そう思いながら、茉白に言い訳をしようとした。
廣｢あ、あのね茉白。これは───｣
三｢ちょっと来て！｣
廣｢！？｣
茉白は私の腕を引っ張り、玄関に入れた。
三｢ここで待ってて！｣
するとそのまま、私を置いて部屋に戻って行った。
30秒ほどで戻ってきた茉白は、私の首に何かを掛けた。
三｢これ、あげるっ。｣
廣｢え……｣
三｢霧野くんとどこか行くんでしょ？｣
廣｢！…どうして…｣
三｢分かるよ。最近一緒にいること多いってことも知ってる。｣
茉白の手が、私の肩に置かれる。
三｢本当はね、全部知ってるの。
でもいいの。ヒロインはヒロインのペースで。｣
廣｢茉白っ…｣
その言葉に込められた、茉白の思い。
でも…ごめんね。
出来ない、私には出来ないんだ。
霧野くんも……きっと今日が最後になる。
それが私の……唯一“傷つかない方法”だから。
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作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2019年6月22日 15時
