episode16★｡.* ページ18
神童side
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｢ありがとうございましたー！｣
練習が終わりグラウンドから部室に戻った時、霧野がいなくなっていることに気付く。
荷物を置いてから、ぐるりと外を見渡した。
すると、校舎よりの花壇のところの霧野の姿が。
隣には、見た事のある背中があった。
しばらくして、霧野がこちらへ歩いてくる。
着替えも片付けも終えてしまった俺は、彼に尋ねた。
神｢今のは？｣
霧｢今の？あぁ、廣瀬？｣
廣瀬という言葉に、半分驚き、半分納得がいった。
霧野は女子とは普通に話せるものの、好んで一緒にいたりはしない。
女友達も少なくないが、自分から駆け寄る相手なんていないはずだった。
だからそんな相手がいるのは、少しびっくりだ。
が、それが廣瀬なら、まあ、分からなくもない気がした。
霧｢なぁ神童、女子って何されたら嬉しい？｣
神｢は？｣
霧野が突然そんなことを言うものだから、うっかり持っていたタオルをボトっと落としてしまった。
それを拾い上げ、改めて問う。
神｢ど、どうしたんだいきなり？｣
霧｢最近、廣瀬に色々迷惑とかかけてるからさ。なんか礼でもって思って。｣
神｢あぁ…普通に、何かあげたりどこか連れて行ってあげたりすれば喜ぶんじゃないか？｣
霧｢どこかか…｣
神｢相手の好きなことが出来るところとかな。｣
霧｢……｣
真剣に相談に乗ってやってるのに、霧野はじっと俺の顔を見ている。
神｢…なんだよ。｣
霧｢いや……2年前までは、逆だったなと思ってさ。｣
そう言って、霧野は目を細くして笑った。
神｢……そう、だな。｣
何も知らない。
何も聞いていない。教えてはくれない。
それが“霧野蘭丸”だと、俺は分かっている。
10年前から知っている。
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作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2019年6月22日 15時
