最後の祈りを【蘭ジャン】 (ページ10)

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本当は自分が一番ページ10

霧｢ありがとう。でも、君の気持ちには答えられない。ごめん。｣

お決まりのセリフを言って、その場を後にする。

図書室に入って、いつも通り窓際の席に座り本を開いた。

────【ジャンヌ･ダルク】
ロレーヌ地方ドンレミ村の農家に生まれた。一三歳の頃聞いた神託を信じて出陣し、オルレアンを解放してシャルル七世を戴冠させ、百年戦争を勝利に導いたが、ブルゴーニュ公の軍勢に捕えられてイギリス側に売り渡され、宗教裁判で異端を宣告されて、ルーアンで火刑に処せられた。────

霧｢はぁぁ～……｣

言われなくとも、分かっている。

いや…分かっているつもりだった。

でも今狩屋にあぁ言われて…もう一度読み返して、よく理解した。

もう二度と彼女に会うことは出来ない。

この歴史を変えることも出来ない。

ジリっ……。

霧｢…いくら焼いても、もう無駄だよ…。｣

ひょっとして、この炎は俺が自ら付けたものなんじゃないだろうか。

ちゃんと受け入れた途端、火加減が弱くなるのを感じた。

…このまま、消えてなくなるのだろうか。

なくなってしまったら、俺の中に彼女はもう…。

｢あの…｣