最後の祈りを【蘭ジャン】 (ページ12)

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それを望んでいるならページ12

(神童目線。)

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神｢霧野。待たせたな、帰ろう。｣

霧｢あぁ。じゃ、またな。｣

｢うん！｣

見知らぬ女の子に手を振った霧野は、図書室を出て俺の隣を歩いた。

神｢今の子は？｣

霧｢彼女もジャンヌが好きなんだってさ。｣

神｢！そうか…良かったな。｣

霧｢うん。良かった。｣

沈みかけた夕日に照らされながら、駅への短い道のりを進む。

霧｢あれから…ジャンヌのことを思い出すと、胸が熱くなるんだ。まるで彼女の炎に焼かれてるように。

でもさっき…消したくないって思ったんだ。この炎が消えてしまえば、俺の中にいるジャンヌがいなくなりそうだから。｣

神｢……不安なのか？｣

霧｢！…まぁ、な。｣

霧野は怖いんだ。

炎が消えて、彼女との思い出もなくなって、力を失うのが。

その気持ちはよく理解できる。でも、それは違う。

その考えは間違っている。霧野はきっと、その炎が消えてしまっても…。

神｢でも、お前は忘れないだろ？｣

霧｢！｣

“消えてしまう”かもしれないなら、“忘れなければいい”。

神｢彼女のこと永遠に。俺はそう思うよ。｣

霧｢…ははっ、そうだなっ。｣

過去に行っていた時間が、今の時間に徐々に溶け込み始める。

だけどそれは、忘れることじゃない。

霧｢神童…俺、いつかフランスに行くよ。

彼女が命をかけて守ろうとした国を、この目で見てまわりたい。｣

神｢あぁ…それがいい。｣

霧野はずっと忘れない。

コートに立つ度思い出すだろう。

自分にとって、彼女がどんな存在なのか。

彼女の強さ、力、有志、決意、その全ても。

霧｢行こう、神童。｣

神｢あぁ。｣

彼女の炎……。

見る度、その炎は間違いなく強さを増している。

それはただ単純に霧野が成長しているだけなのか…

それとも、霧野のそばにいたいという思いが強くなったジャンヌそのものなのか。

なんでもいいけど、ただ……

神｢久々に、雷門でも寄ってくか？｣

霧｢おう、いいな。｣

その炎が、

いつまでも霧野を守ってくれますように。