かくれんぼ (ページ18)

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悲劇じゃない悲劇ページ18

つかぽんside

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文化祭から3ヶ月の月日が過ぎ、季節は冬を迎えていた。

12月。今年ももうすぐ終わる。

そんな時…俺の携帯に、まだ9歳の妹侑香(ゆか)から1本の電話が掛かってきた。

月に数回しか連絡の取らない、取るとしてもほぼメールで済ませる妹から。

つ｢…母さんが、死んだ？？｣

交通事故だった。

数日後に、葬式やお通夜が行われた。

学校は休んだ。

みんなには、風邪ということにしている。

父｢くそ…なんでっ……。｣

侑｢うぅ…お母さん……。｣

つ｢……｣

涙は出なかった。

この2人ほど、母親を慕っていなかったからだ。

あの日のことは、何年経っても忘れない。

許したと思うなよ？母さん。

俺はずっと、あんたが大嫌いだ。

つ｢…どうしたの？｣

み｢1人じゃ寂しいかなって。｣

全てが終わった日の夜、美織が家に来た。

俺はひとり暮らしなため、もちろん家には誰もいない。

みんなには風邪と言ったけど、美織には本当のことを言った。

つ｢変な気回させたならごめん、俺別に大丈夫なんだけど。｣

み｢何よそれ、せっかく彼女が遊びに来たのに追い返すのー？｣

そんなことを言いながら、美織はキッチンで持っていたビニール袋を開いた。

み｢カレー作ってあげる。どうせまたコンビニ弁当とかしか食べてないんでしょ？それも1日2食！朝も食べないとどんどん痩せるよ。｣

つ｢……残念、最近目玉焼きが焼けるようになったんだよな。｣

キッチンに立つ美織が、一瞬、母さんと重なった。

母さんが料理している背中、もう何十年も見ていない……。