君と2人の帰り道 ページ17
陸人side
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それは、ある10月の部活終わりのことだった。
1人歩く帰り道…少し前の小さな背中に、思い切って声をかけた。
陸｢き、菊池さん…！｣
叶｢あ、み、三井くん…｣
菊池さんは立ち止まり、控えめに手を振る。
そんな何気ない仕草でも、不覚にもキュンとしてしまう俺。
陸｢もし良かったら、駅まで一緒に行かない…？｣
叶｢！う、うん！もちろん！｣
彼女の顔がぱあっと明るくなるのが分かった。
陸｢…菊池さんて、実は結構分かりやすいよね。｣
叶｢そ、そう？｣
陸｢うん。｣
叶｢初めて言われたかも。私、昔から自分の気持ち正直に言ったりするの、苦手だったから。
この間少し克服できたけど…まだまだで。｣
菊池さんは下を向いて、悲しげに笑った。
陸｢……悪いことじゃ、ないと思う。｣
叶｢え？｣
ぽろりとこぼしてしまった一言に、一瞬だけ後悔する。
でももう遅い。俺は話を続けた。
陸｢社交辞令…っていうのかな。菊池さんが言わないことで、傷つくはずだった誰かが傷つかなくなってるかもしれない。
あ、でも良いわけじゃないよ？？
そりゃあもちろん悩みとかあるんだったら頼ってもらいたいし！俺なら全部聞くし！
だから…その…｣
あぁ、俺なんでこんなに喋るの下手なのかなぁ…。
そんなことを考えていたら、彼女が口を開いた。
叶｢慰めて、くれたんだよね？ありがとう…。｣
陸｢そんな、大したことは…｣
叶｢ううん、ありがとう。少しだけ、元気が出た気がする！｣
そう言って、菊池さんはガッツポーズをした。
あぁ〜、可愛い……。
陸｢…なら、良かった。｣
叶｢うん！｣
彼女を見る度、気持ちがどんどん膨らんでいくのが分かる。
もしかして君も、俺と同じ気持ちなのかな…？
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作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2018年11月4日 14時
