君と空を見上げれば２ (ページ5)

今日:12 hit、昨日:8 hit、合計:12,699 hit

episode46☆*: ページ5

夢咲side

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あれは、2ヶ月前のこと。

お姉ちゃんが神童先輩に呼び出されたと聞き気になって来てみた時、聞いてしまった。

薄々気付いてはいた。ただ、信じたくなかった。

これでやっと、確信になった。

霧野先輩……お姉ちゃんが、好きだ。

霧｢緋彩……？｣

夢｢……！｣

逃げるタイミングを失って、ばったり霧野先輩と遭遇。

最悪だ。今すぐ逃げたいくらい。

霧｢もしかして…聞いてた？｣

夢｢……｣

私が黙って頷くと、霧野先輩はまじかよ…と呟いて自分の頭をかいた。

霧｢…かっこ悪いよなぁ、俺。神童には意気地無しとか言っておきながら、本当は自分が1番…｣

夢｢！そんな…違います…！｣

思わずあげた声に、先輩は驚いている。

頭では分かっていたけど、止められなかった。

夢｢先輩は意気地無しなんかじゃないです！だって全部、先輩の優しさでしょう！？私知ってます！｣

霧｢！｣

夢｢落ち込んでる時、1歩踏み出せない時、神童先輩だけじゃない…私だってお姉ちゃんだって！

先輩がいてくれたから乗り越えられたんです！

確かに先輩は変に鈍感だから、いつも周りのことばっかで自分のことなんてまるで分かってない…でも…！

そんな先輩の優しさに…私は…私は…｣

届け。私の気持ち、先輩に。

夢｢恋したんです……！！｣

私の、精一杯の気持ちだった。

届いて欲しかった。どんな形でもいいから。

でも……霧野先輩は、そんな簡単に心を許してはくれなかった。

霧｢ありがとう…でもいいよ、気使わなくて。｣

夢｢え……｣

そう言って歩き出した先輩の後ろ姿を、真っ直ぐに眺める。

見えなくなったのを確認してから、ぎゅっと拳を握った。

夢｢……本当、鈍感なんだからっ…｣

涙が溢れた。止まらない。

…ねぇ、先輩。

私じゃダメなの？

お姉ちゃんの代わりにはなれない？

そんなの、私が1番分かってるけど。

……もう、終わるのかなぁ…。

美｢諦めんのかよ。｣

夢｢…っ！｣

振り返ると、ジャージのポケットに手を突っ込んでつまらなそうな顔をする美月が立っていた。

私は涙を拭き必死に止め、美月に笑ってみせた。

夢｢…んなわけないでしょ。｣

美｢ははっ…そうでなくちゃな。｣

美月も、私を見て笑った。