episode65☆*: ページ24
霧野side
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
霧｢A…！｣
紅｢霧野先輩？｣
まだ音楽室から出る気配のないAに、声をかける。
紅｢どうかしました？｣
霧｢あ…最後だし、少し話さないか？？｣
紅｢ふふっ、いいですよ。｣
話が切り出せない。
というか、頭が真っ白でどうすればいいのか分からなかった。
紅｢私も…霧野先輩と話したかったんです。｣
霧｢俺と？｣
紅｢はい。先輩のおかげで、この1年すごく楽しかったから。｣
Aは、優しい口調で話し出した。
紅｢トラウマから抜け出して人を信じようって思えたのも、神童先輩と今みたいな関係になれたのも…全部、先輩のおかげなんです。
少し大袈裟に聞こえるかもしれないけど…心から思ってる。｣
霧｢A…｣
紅｢私、霧野先輩に出会えて本当に良かった。
初めて会った時から、あなたはずっと…
ずっと、私のヒーローでした！｣
霧｢！｣
これ以上に嬉しい言葉が、あるだろうか。
Aが今、俺のためだけにここにいて、俺にだけ｢ヒーロー｣とそう言った。
あぁもう…気持ちを伝えるなんて、どうでもいい。
これを言って彼女を困らせてしまうなら、俺は…。
霧｢…Aは、神童のどこが好きなんだ？｣
紅｢へ！？な、なんですかいきなり…｣
霧｢聞きたいんだ。教えてくれないか？｣
Aの顔は、一気に真っ赤に染まる。
紅｢……努力家なところ、ですかね。｣
霧｢へぇ……なんで？｣
神童の好きなところを聞けば、大抵の人が｢かっこいいところ｣や｢強いところ｣と答える。
興味があった。何を根拠にそう答えたのか。
紅｢先輩はとってもかっこいいです。なんでも出来て、それに強い…。
でも、いつも先輩見てて思ったんです。もしかして、それは努力の結晶なんじゃないかって。｣
神童は努力家だ。
昔は弱くて、もっと泣き虫だった。
紅｢かっこよくないですか？自分のダメなところ直して、今はそれをもっと磨こうとしてるなんて。｣
まさか、昔のあいつを知らないのに、それを分かってくれる人がいるだなんて。
霧｢…神童のこと、好きか？｣
紅｢はい、とっても！｣
この時初めて、俺が｢Aに相応しい人｣ではなく、｢神童に相応しい人｣を探していたことに気付いた。
霧｢……だってさ、神童。｣
紅｢え？｣
神｢！｣
俺は振り向いて、扉の向こう側の神童に声を掛けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モナ - 続き早く見たいです！ (2019年2月17日 8時) (
レス) id: ce41c9b384 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2018年12月29日 5時
