episode59☆*: ページ18
霧野side
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霧｢ところで神童、ちょっと来てくれ。｣
あれは、10月頃だっただろうか。
忘れもしない、あんな出来事。
Aが……いじめを受けた。
神童のファンからだった。
俺は神童を呼び、室内グラウンドに来た。
｢…さっき、Aがお前のファンの子に殴られかけてた。｣
｢え……｣
｢1ヶ月ほど前から嫌がらせはされてたらしい。とりあえず俺が言っておいたからしばらくはないと思うけど…。｣
｢…………｣
神童は少し考えるように黙ってから、予想外の言葉を発した。
｢…もう、必要以上に紅月に関わらないようにするよ。｣
｢…は？｣
｢だって、それが1番だろ。紅月との関係は部活仲間だけってことで──｣
バシッ…！！
｢ふざけるな！｣
思わず出てしまった手が、神童の頬を思いっきり叩いた。
反動で神童はそこに座り込む。
｢……｣
神童は何も言わない。それも腹が立った。
｢それが一番だって？そんなの紅月のためになってるわけ───｣
｢じゃあどうすればいいんだよ！！｣
久々に聞いた声だった。
去年サッカーがしたくても出来なかったあの時、天馬に当てていたような声。
｢俺は、紅月を守れるほど強くない…お前みたいに、かっこよく救ってやれない…！
だったら、近付かないのが1番だよ…。｣
｢っ…こんのぉ意気地無し！｣
俺は、芝生の上に座る神童の胸ぐらを掴んだ。
｢何やってんですか先輩！｣
｢やめてください！｣
後ろから狩屋と影山の声が聞こえるけど、全く響いてこない。
｢出来ないって、やってもないのに決めつけんな！男なら守るくらい言ってやれよ！｣
分かってる。あれは神童の優しさの答えだった。
｢だったらお前がやればいいだろ！｣
俺の服を掴み回し、神童が俺の上にまたがる。
あとから気付いたけど、神童に怒鳴られたのは初めてだった。
｢俺じゃダメなんだよ…！！｣
神童の肩を、ぎゅっと掴む。
｢俺じゃAを守れない…！本物のヒーローには、なってやれないっ……。｣
苦しかった。悔しかった。
俺じゃダメなんだ。神童にしか出来ない。
物語の主人公は、いつだってお前だった。
俺はせいぜい、クラスと部活が同じ親友…。
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モナ - 続き早く見たいです！ (2019年2月17日 8時) (
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作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2018年12月29日 5時
