君と空を見上げれば２ (ページ14)

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episode55☆*: ページ14

美月side

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雨｢あ…美月！夢咲さん！｣

邪魔するなと内心キレ気味になりながら、俺達を呼んだ兄さんの方へ振り向いた。

兄さんはこちらに手を振り、隣には影山先輩と西園先輩がいた。

夢｢太陽先輩。それに輝先輩と信介先輩も。｣

西｢帰るのー？今から2人と雷雷軒行くんだけど、2人もどう！？｣

美｢いや、俺達は───｣

夢｢いいんですか！？行きます！｣

顔をゆがめて緋彩を見ると、彼女は得意げに俺を見た。

俺はため息をつき、校門に向かって歩く兄さん達を追って足を踏み出した。

なんとなく、後ろを振り返る。

美｢あ……｣

夢｢美月？どうかした？｣

美｢今そこに霧野先輩がいた。｣

夢｢え？どこどこ？｣

緋彩も振り返ったが、その頃にはもう先輩の姿はなかった。

夢｢いないじゃん！｣

美｢いたんだよ。多分、話してた女の人は紅月先輩…｣

夢｢…美月さ、ホントに霧野先輩大好きだよね！｣

美｢はあ？｣

ふざけるな。俺があの人苦手なこと、知ってるはずなのに。

夢｢あ、もしかしてお姉ちゃんだった？やめときなよ、美月が神童先輩に勝てるはずないんだから。｣

美｢変な事言うなよ。俺は霧野先輩も紅月先輩も別に好きじゃねぇ！｣

夢｢さぁ、どうだか？｣

美｢ざけんな、俺が好きなのは───っ……｣

そこまで言っておいて、言葉が詰まる。

意気地無しめ。こんな自分、大嫌いだ。

でも、本当に大切に思ってる。

俺は、お前のことが────…

夢｢知ってるよ。｣

その言葉はただのはったりだったのか。

それとも本当に知っていたのか、それは分からない。

聞かなかったから。聞けなかったから。

雨｢美月、夢咲さん！行くよー？｣

夢｢はーい！｣

美｢……｣

こんな自分、大嫌いだ。

意気地無しなんて、大嫌いだ……。