episode31☆*: ページ34
Aside
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それから、私への嫌がらせは1ヶ月ほど続いた。
私はひたすらに、1人で耐えた。
神童先輩にも、まだバレてないだろう。
……でも、そんなある日。
部活前の、放課後のことだった。
｢紅月さん。｣
紅｢へ？｣
見たこともない先輩に、声を掛けられた。
相手は4人。
｢ちょっといい？話があるんだけど。｣
すぐに、嫌がらせをしてきた人だと分かった。
少しだけ行こうか悩んだけど、行くべきだと思った。
もう終わらせよう。
そう心に誓って、私は先輩達について行った。
ドンッ！
｢目障りなのよ！！｣
連れてこられたのは校舎裏。
ベタだ。ベタにも程がある。
｢ちょっと可愛いからって調子乗って、シン様に近付いて…｣
｢合わないのよあんたなんて！｣
｢そうよ！シン様に相応しくない！｣
紅｢…そういう先輩方はどうなんですか…？｣
どんなことを言われても、余裕をかまして言い返す。
｢生意気ね、自分がどういう立場にいるか分かってるの？｣
この時は、まだ楽だった。
突き飛ばされても、悪口を言われても。
でも…この後先輩が発した言葉は、一瞬で私を窮地へと追い込んだ。
｢孤児のくせに。｣
紅｢！！｣
『お前親いないんだろ？』『かわいそー！』
紅｢ど、して……それを…｣
｢ちょっと先生に聞いただけよ。あなた親いないんでしょ？可哀想ねぇ〜。｣
紅｢いや…｣
｢捨てられたんだって？最低な親ね！｣
紅｢やめて…｣
耳を塞ぎ、その場に座り込む。
聞きたくない、聞きたくない。
でも先輩達は、私の腕を掴んで耳から離した。
紅｢キャッ…！｣
｢あんたなんて…シン様に嫌われちゃえばいい…！｣
1人が、自分の腕を振り上げる。
…もうダメだ。
もう終わりだ。
そう思った時には、その人の腕は振り下ろされていた。
反射で私は目を瞑る。
……あれ？
痛くない。
恐る恐る目を開けると、先輩の腕は、誰かに掴まれ私に当たる前に止まっていた。
……私の好きな人は、ヒーローじゃない。
かっこよくて、優しくて、頭も良くて、運動も出来るけど…
でも、あなたじゃなかった。
私のちょっとした変化に気付いてくれて、ピンチの時は私を助けてくれる。
そんな私のヒーローは…
いつだって、彼でした。
｢紅月、大丈夫か…！？｣
紅｢霧野先輩っ…。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 22人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：☆Cirno☆ | 作成日時：2018年10月1日 1時
