【A3!】完 璧 ド ー ル II

その97 ページ47

臣｢おかえり。監督と丁度すれ違いだな。｣




A｢どうしてですか？｣




臣｢たった今大事な打ち合わせがあるからって寮を出たんだ。｣




そういえば朝からブツブツと何かを言ってたような……。




総監督や主宰というのは色々と大変なものだ。




A｢太一、先に荷物片付けよ。｣




万里｢は？太一？｣




一成｢たいっちゃん、抜け駆け良くない！｣




何やら向こうで言い合ってるけど、太一は先に荷物を片付けようよ。




A｢太一、私はもう終わったからね。｣




太一｢は、早いっスよ！｣




A｢太一が遅いだけ。｣




何を話し合ってるのか知らないけど、冷凍食品も買ってあるんだから早めにしまってくれ。




***




A｢……ふぅ。｣




買い出しは終わらせたし、やることも無いから適当にバルコニーに出て風に当たる。




万里｢よう、シェリーちゃん？｣




A｢ゲームで使ってる名前で呼ぶのはやめません？｣




シェリーっていう名前をゲームで使ってるのは自分だけど、リアルでそう呼ばれると違和感しかない。




万里｢随分と太一には馴れ馴れしいのな。｣




A｢別にタメでいいって言ってたからそうしてるだけですよ。｣




何もおかしいことは無いだろう。歳も近いんだし、多少先輩後輩はあったとしてもずっと敬語ってのも神経すり減らすし。




A｢そういえば万里さん……｣




万里｢万里。｣




A｢……？｣




万里｢だから、万里でいい。あと敬語も外せ。｣




A｢……万里？｣




万里｢どした、A。｣




A｢っ……。｣




そんな名前を呼ばれながら優しく微笑まれたら恥ずかしいんだけど。




A｢……彼女や好きな人の前だけにしといた方がいいですよ、それ。｣




万里｢ん？何が？｣




A｢(分かってるくせに……。)｣

その98→←その96

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す