みそじ あまり みっつ ページ35
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「……早く、こっち」
少し乱暴に京也の頭にタオルを被せ、手を引いて屋根のあるところに入る。
とりあえず雨から逃れることができたとほっと一息ついてから、ずうっと俯いている京也の前に跪いた。
「……どうしてあんなところにいたの?」
それに、一人で。
チラリと京也の表情を覗き見て、それからわしゃわしゃと彼の濡れた頭を拭いた。
……びしょびしょだ。
「ゲリラ豪雨だったから、傘を持ってなかったのは仕方ないけど……お父さんとお母さんは? またお留守番なの?」
私はそう彼に尋ねながら、心のどこかでそれはないと確信してた。
なんとなくだけれど、この子の目がそれはないって語っていた。
こんな暗い寂しげな目、ただのお留守番わけがないもの。
じっと俯いて答える気のなさそうな京也にため息をついて、私はゆっくりひとつひとつ尋ねることにした。
「……一人でお家を出てきたの?」
こくん。
「お母さんはお家にいる?」
こくん。
「……お父さんは、お仕事?」
ふるふる。
「今日はお仕事……お休みだったの?」
こくん。
「……どうして1人で出てきたの?」
しーん。
「黙って出てきたの?」
……ふるふる。
「……何か、嫌なことでもあった?」
……こくん。
「喧嘩した?」
こくん。
「お母さんと?」
ふるふる。
「……お父さんと?」
……こくん。
京也の答えに、私は驚いた。
お父さんが今日は仕事じゃなかったということにもだけれど、彼がお父さんと喧嘩をした、ということに。
だって、あんなに……大好きだっていって、仲良さそうだったのに。
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麗夢 - 前見た時本当に感動してまた読みに来ました。私が知っている夢小説の中で1番大好きな作品です! (3月1日 23時) (レス) @page44 id: 6ebe956d7c (このIDを非表示/違反報告)
にっこり(プロフ) - 感動したやっぱりお父さんって大事だなぁ後光輝君もいいな! (2021年8月25日 7時) (レス) id: ec120adb39 (このIDを非表示/違反報告)
藍琉(プロフ) - とても感動しました!!!!泣きながら読んでました!この作品に出会えて良かったです!ありがとうございました!!!! (2020年6月11日 0時) (レス) id: e2f068ce6d (このIDを非表示/違反報告)
芥川とミルクティ - 何度見ても泣きます。もう最後なんか、嗚咽が止まりません。本当に感動する素晴らしい作品です。作者様のとても美しい文章に惹き付けられます。 (2020年3月14日 20時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
哀駒(プロフ) - 完結おめでとうございます^^もう泣きすぎて明日目腫れそうです…w (2020年3月10日 22時) (レス) id: 677b3c59a5 (このIDを非表示/違反報告)
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