【HQ】父親って。

はたち あまり いつつ ページ27

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　電気を消して、布団をかぶって、微睡みに沈んでいくと、案の定今日も夢の中に来た。

　この空間ももうだいぶ慣れてしまったけれど、目の前にもう一人私がいる、という状況にだけは未だ慣れずにいて、落ち着かない。


　でも夢の中の私はひどく冷静で、無表情で“わたし”を見つめていた。





　……どれくらい、時間が経ったのか。





　時の流れも不明な夢の世界では、わかるはずもない。


　目の前で動かない“わたし”を見て、今日もいつも通り、特に何事も無く起床するのだと、そう思っていた時だった。





『──嘘つき』





　突然“わたし”がそう声を発して、目を見開く。

　どうしたんだろう。今までこんなこと、一度だってなかったのに。




『また嘘ついてる。懲りないんだね、アンタって』




　はあ、と浅くため息。なんだかやけに馴れ馴れしいその姿に、私はぱちぱちと目を瞬かせた。




『“もうお父さんに会いに行かなくていい”だなんて、よくいえたわね、そんなこと』




　底のない、真っ黒な冷たい瞳が私を射抜く。

　なぜかドクドクと心臓が音を立て始めて、私はぎゅっと胸を掴んだ。




『本当は会いたくて会いたくてたまらないくせに。伝えたくて伝えたくてしょうがないくせに。どうしてそんな嘘つくの？ まさか、強がってるつもり？』


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