みそじ あまり ここのつ ページ41
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刹那、ふわりと懐かしい匂いが鼻をかすめる。気づいた時には、私はお父さんに抱きしめられていた。
ポロポロと溢れる涙は、止まることなくお父さんの肩口に吸い込まれていく。
「ごめん」
低く、掠れた声でお父さんはそういった。
「最初に会った時、気づいてあげられなくてごめん。
そばにいてあげられなくて、ごめん。
……一人にして、ごめんね」
どうやら、お父さんはお母さんのことを知っているような口ぶりだった。
それなら、私が会いに行く必要なかったじゃないか。ばか。ばかだ。私も、お父さんも。
謝るくらいなら、最初からやらなければよかったのに。
「ごめん……ごめん」
お父さんは、静かにそう繰り返していた。
私はというと、お父さんにしがみついたまま、ずっと泣いていた。
お父さんの肩はもうすっかりびしょびしょで、何よりここは駅で、人の目もある。
でも、そんなこと気にしていられなかった。
「わたし、は。私は、すぐに気づいたのに。お父さんだ、って、気づいたのに。なのに。お父さんは、ぜんぜん、き、気づかなくて、」
しゃくり上げながら、必死で言葉を紡ぐ。
「お母さんの、こと、伝えたか、たの、に。ぜんぜん、気づかないから、いえなくてっ。わ、わたしだって、本当は、みんなでおでかけしたり、したかっ、たのに、わたし、は、」
もう、言葉にもなっていなかった。
それでもお父さんは、うんうん、と、ごめんね、と、繰り返し頷きながら聞いていた。
「わたしだ、って、おとうさん、って、よ、よびたか、ったあ、……！」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら、やっとの思いでそういった言葉に、お父さんはぎゅうっと私を抱きしめて。
ただひたすらごめんねと繰り返して、それから最後にこういった。
「会いに来てくれて、ありがとう」
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麗夢 - 前見た時本当に感動してまた読みに来ました。私が知っている夢小説の中で1番大好きな作品です！ (3月1日 23時) (
レス) @page44 id: 6ebe956d7c (このIDを非表示/違反報告)
にっこり(プロフ) - 感動したやっぱりお父さんって大事だなぁ後光輝君もいいな！ (2021年8月25日 7時) (レス) id: ec120adb39 (このIDを非表示/違反報告)
藍琉(プロフ) - とても感動しました！！！！泣きながら読んでました！この作品に出会えて良かったです！ありがとうございました！！！！ (2020年6月11日 0時) (レス) id: e2f068ce6d (このIDを非表示/違反報告)
芥川とミルクティ - 何度見ても泣きます。もう最後なんか、嗚咽が止まりません。本当に感動する素晴らしい作品です。作者様のとても美しい文章に惹き付けられます。 (2020年3月14日 20時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
哀駒(プロフ) - 完結おめでとうございます^^もう泣きすぎて明日目腫れそうです…w (2020年3月10日 22時) (レス) id: 677b3c59a5 (このIDを非表示/違反報告)
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