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「そういう事だから、みんなごめんね!ちなみに昼休み凸るのは禁止ね!」
及川は隠れるように私の背後に回る。
しかしファンたちはそれだけで帰ろうとはしなかった。
「A先輩!私たち、マネージャーやりたくてぇ」
『ごめんうち及川目当ての子マネージャーに出来ない決まりなんだ(嘘)』
「及川先輩目当てじゃないです!バレー部を支えたくて…」
『うーん…』
「先輩ばっかりずるいです!」
優しく対応する私を他所に、後輩たちは好き勝手言っていた。
及川先輩を独り占めしてずるいやら、マネージャーやりたいやら。
私は段々イライラしてきて、ついには痺れを切らした。
『じゃあマネージャーの仕事代わりにやってみる?スポドリ人数分作って運んで、人数分のタオル用意して、ゼッケン洗濯して、畳んで、その後練習内容記録して、練習後の選手のケア。やる?』
『あと私及川のこと好きじゃないし。独り占めとか冗談でもやめて欲しい。私の評判下がる』
「ちょっと酷くない!?」
私の言葉に反応する及川を放って私は熱烈後輩ファンに視線を向ける。
女子たちは私が思ったより喋ったことに驚いたのか、固まっていた。
すると、後ろから溝口くんが来ているのが見えた。
「お前ら何回来るなって言ったらわかるんだ!!」
女子たちは「やばっ」と言いながらさっさとその場から離れていった。
一言で彼女たちを蹴散らしてしまう溝口くん、尊敬します。
すると、溝口くんはこちらを振り返って私の服装に目を向けた。
「お前まだ制服…遅刻してきたな!!」
『担任に言われて掃除してただけだし!私悪くないし!』
まさかさっき考えてたいいわけが役に立つとは…
さっさと着替えてこい!という溝口くんの声に私は急いで更衣室に向かって歩き出した。
すると、及川に呼び止められる。
『?』
不思議に思い振り返ると及川はじっとこちらを見ていた。
「…ありがと」
そしてポツリとそう呟く。
普段そんなことを滅多に口にしないクセに、いきなりそんなことを言われて私は驚いた。
『あ、うん、どういたしまして』
私は戸惑いながらもそう答えてまた更衣室に向かう。
背中からは溝口くんが及川に対してファンの管理ちゃんとしろ!と言っている声が聞こえてきた。
私はそっちに集中していたせいか、反対側の入り口にこちらを覗いている人物がいることに気づかなかった。
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げのげ(プロフ) - ハルスケさん» ありがとうございます!とても励みになります🥹 (1月29日 17時) (レス) id: f5508f1222 (このIDを非表示/違反報告)
ハルスケ(プロフ) - 初コメです!ランキング1位に乗っていて、すぐに拝見させていただきました!めちゃくちゃ面白いです!かっちゃんも好きなのですが、及川も大好きなのでとても嬉しいです!更新頑張ってくださーい! (1月29日 13時) (レス) id: 55b59344d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:げのげ | 作成日時:2024年1月28日 14時