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私は持ち直そうと少しダンボールを浮かせた。



『(まってやばっ…)』



その衝撃に私が耐えられる訳もなく、私は思い切り後ろによろけた。








あぁまって、今地面コンクリだし打ったら血いっぱい出るな。



そしたらみんなに迷惑かけちゃう。



どうしよう。



私は倒れるまでの瞬間にそんなことを考える。



これから自分の身体に走るであろう痛みにぐっと目をつぶって待ち構えた。






しかし、いつまで経ってもその痛みを感じることは無い。



その代わりに後ろになにか温もりを感じた。



人肌のような…。



「ちょっと!こんな重いもの1人で持つとかバカじゃん!」



後ろから聞こえたその声に、私は思わず固まった。



腕にのしかかっていた重みは少し軽くなる。



ひとつのダンボールは私の腕から及川の腕へと移動していた。



『ありがと…』





私は及川とふたりで体育館に向かって歩き出す。



私が溝口くんに頼まれているところを見ていたのだろうか。



ここに来てくれたってことは私のために来てくれたってことだよね。



…嬉しい



私の口元は自然と綻んでいただろう。





私たちは雑談をしながら2人で体育館へ向かう。




それがどうしようもなく嬉しかった。



しかし、及川の言葉に綻んだ口元は段々元に戻っていった。



「そういえばこの前のカプ祭、なんで出たの?Aに1番似合わないのに笑」



隣から聞こえるその言葉に顔が強ばる。



あの日、あんなに玲奈のことは優しい目で見てたくせに。



私に対してはそんなこと思ってたの?




玲奈と私に抱いている感情が違いすぎることくらいわかってる。



だとしても好きな人にそんなこと言われる私ほど惨めなことってある?



私はいたたまれなくなる。



「A?」



いつもなら言い返してくる私が黙っていることに違和感を覚えたのであろう及川が私の顔を覗き込もうとする。



私は反射的に及川を避けてしまった。



「え?」


『あ…』



弁明しようと思ってもあまりの自分の惨めさに上手く舌が回らない。



私は思わずその場から逃げ出してしまった。












どうして学ばないんだろう。



前のカプ祭で玲奈との格の違いを思い知らされたのに。



また勘違いして舞い上がって。



『(もうやだ…)』



私は溢れそうな涙をぐっと堪えた。

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げのげ(プロフ) - ハルスケさん» ありがとうございます!とても励みになります🥹 (1月29日 17時) (レス) id: f5508f1222 (このIDを非表示/違反報告)
ハルスケ(プロフ) - 初コメです!ランキング1位に乗っていて、すぐに拝見させていただきました!めちゃくちゃ面白いです!かっちゃんも好きなのですが、及川も大好きなのでとても嬉しいです!更新頑張ってくださーい! (1月29日 13時) (レス) id: 55b59344d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げのげ | 作成日時:2024年1月28日 14時

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