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『…前まで全然なんとも思ってなかったしむしろ嫌いだった友達とさ、最近ちょっとあって前よりも関わる機会が増えたの。』
『今まで気にならなかった仕草とか特徴とかが全部はっきり見えるようになって…しかも最近その人がほかの女子とカプ祭出ること知ってちょっと嫌だなって言うか、モヤっとしたというか…』
名前を隠していてもはっきりと分かるため、隠す必要はあるのかというレベルだが私は岩泉に今ある心の内を話した。
岩泉はそんな私を見て呆れたと言ったような顔をした。
「お前、ほんとに鈍感なのな」
『なっ…あんたが言う!?』
まさか岩泉に言われると思っていなかったその言葉に私は軽くショックを受けた。
そんな私を放って岩泉は話を続ける。
「俺もあんまり恋愛のことはわかんねぇけどよ。要はその男をほかの女に取られたくないってことだろ?」
色々飛躍している部分はあるが簡単にまとめるとそうなるのだろう。
私はこくりと頷いた。
「それはもう好きってことなんじゃねぇの?」
その言葉を聞いた瞬間、あの告白現場を見た時からかかっていた心の霧が晴れるような感覚がした。
薄々思ってはいた。
でもやっぱり、そうなんだ。
『(私、及川のこと好きなんだ)』
私は少しずつ、自分の顔が熱を帯びていくのを感じる。
恐らく、今の私は茹でダコのように真っ赤な顔をしているだろう。
「ははは!赤すぎだろ笑」
そんな私を見た岩泉は大笑いして私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「ま、お前と及川なら大丈夫だ。って、名前出しちまった」
私はまたその岩泉の失言に顔を赤く染めるのだった。
及川side
休憩がてら外に出てたまたま上を見上げた時、屋上のベンチで仲良さげに喋るAと岩ちゃんの姿が見えた。
あの日、2人がペアとしてカプ祭に出るって知った時は本当に驚いた。
このカプ祭の準備期間は思った以上にペアの相手と過ごす時間が多くなる。
「あれ、いいの?」
ふと、後ろから声が聞こえる。
振り返ってみれば、そこにいるのは俺と同じく休憩している高嶺さんだ。
高嶺さんの視線は屋上を見上げている。
「…よくない」
俺はボソリと、含みのある声でそう呟いた。
「いつまでも勘違いさせたままじゃ、そのうち誰かに取られちゃうんじゃない?」
「…そうだね」
俺は気合を入れる意味で、持っていた空のペットボトルを握りつぶした。
文化祭まであと3日___。
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げのげ(プロフ) - ハルスケさん» ありがとうございます!とても励みになります🥹 (1月29日 17時) (レス) id: f5508f1222 (このIDを非表示/違反報告)
ハルスケ(プロフ) - 初コメです!ランキング1位に乗っていて、すぐに拝見させていただきました!めちゃくちゃ面白いです!かっちゃんも好きなのですが、及川も大好きなのでとても嬉しいです!更新頑張ってくださーい! (1月29日 13時) (レス) id: 55b59344d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:げのげ | 作成日時:2024年1月28日 14時