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「で、一昨日のことなんだけど…」
健人くんと私、パジャマ姿でくつろぐリビング。
健人くんと、こんな状況にあることがまだ信じられなくて慣れそうにない。
「あの、わたしもう気にしてないから大丈夫ですよ!」
「ヤダよ、俺が気にする」
「なんかもう今のこの状況が幸せすぎて一昨日のことも忘れちゃった、っていうか…」
「ふはっ、何それ!」
パジャマ姿でも絵になるくらいカッコよくて、思わず笑っている健人くんに見惚れてしまう。だって、あの日はたしかにドン底で、すごく寂しくて悲しかったけど、今こうして健人くんと一緒に居られているなら、もうそれでいいんだもん。
「Aちゃんにとって、聞いてて良い話じゃないかもしれないけど聞いてくれるかな…?」
「…はい」
「実はね、」
それから、健人くんはあの日の事、初めて恋をした日の事、でもそれが終わってしまった事、終わってしまった理由を、ゆっくり、時間をかけて話してくれた。
「っう、…けんとく、ん」
「え!!!!ご、ごめん!やっぱり元カノの話なんて嫌だったよね?!泣かないで?本当ごめん…」
「ちがいます、」
思わず大号泣する私の頬を、困ったような表情の健人くんがパジャマの袖口で拭うように撫でてくれる。
「健人くんが、そんなに辛い恋を経験してたって思ったら、なんか泣けてきちゃって、」
「ええっ、そっち?!」
「だって!!健人くんは本当にそのレイカさんのことが好きだったのに!そんな最後…ひどい…」
「ほんっと、Aちゃんって泣き虫だよね」
そういうところも可愛いんだけど、なんて言いながら健人くんは私にティッシュを手渡してくれる。可愛いって、いつもさらっと言えちゃう健人くんが、すごく好き。
「もう…好きじゃないんですか…?」
「レイカのこと?好きじゃないよ」
「そ、そうなんですね…よかった…」
「だから、俺一歩踏み出そうと思って」
「踏み出す?」
「そ。だからまずは、Aちゃんともっと仲良くなろうと思ってるの」
「…?!」
「敬語も無くしてさ、どう?」
「健人くんに敬語なしですか?!それは、出来るか不安です…」
「大丈夫、これからなしね。ご両親帰ってくるのは1週間後だったよね?」
「はい、じゃなくて、えっと、うん…」
「ふふ。そしたら、それまでここに居てよ」
にっこり、といつもの笑顔で笑う健人くんはなんだかすごく楽しそうだけど1週間健人くんと一緒って…心臓が壊れてしまうかもしれません。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時