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"ふーまへ
昨日はありがとう!朝ごはん、つくっておいたからたべてね!!Aは1限からなので先にいきます!いってきまーす!ふーまもいってらっしゃーい!
Aより"
ベッドから起き上がると、足元に敷いてあった布団は綺麗に片付けられていて、代わりにリビングのテーブルには、少し乱雑な丸文字で書かれたAからの置き手紙が置いてあった。
「ふはっ、字汚な…」
置き手紙を手に、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して喉へ流し込む。急いでいたなら朝食も、手紙だっていらないのに。とは言いつも嬉しくて、ラップのかけられたサンドイッチを一口、放り込んだ。
昨日は中島が帰った後、Aに中島の事を質問攻めされたけれど、中島の恋愛事情なんて分かるはずもなく。浮いた噂は聞かない、ということだけ伝えた。いつも思うけれど、恋をして、誰かを想うAは、キラキラしていてすごく綺麗だ。他の男の話をしている表情さえ愛おしいなんて、俺って結構ヤバイ奴だと思う。
俺の知り合いを好きになったパターンは、今までにも何度かあった。中学の時のクラスメイト、高校の時の先輩。付き合ったかまでは覚えてないけど、その時だって結局上手くいかなくて、わりとすぐに泣きついてきた覚えがある。
中島健人。大学へ入って初めて出来た友達だった。頭も良く、顔も良く、話していても面白い奴だと思った。
大きなキッカケは、入学早々、付き合いで呼ばれた飲み会…まあ言うなれば合コンみたいなもんだ。変わるがわる話しかけてくる女子に対して気持ち悪いほどの愛想笑いを浮かべて、だけどどこか寄せ付けないようなオーラを放って、今思えば、多分あの時中島はイライラしていたのだと思う。イケメンなのに、闇が深そうな奴だな、と思ったのが最初。
男同士だし、過去の恋愛の話なんてしたことがないけれど中島って、なんかワケありそうだよなー。
ぼんやりと、そんな事を考えながらAが作ってくれたサンドイッチをカバンに放り込んで、部屋のカーテンを開けた。
まだ5月なのに、日差しがギラギラと暑い。
Aと同じ学校へ通うのは中学生以来だ。なんだかんだで、入学してからほとんど毎日顔を合わせているような気もする。
誰を好きになっても、こうして1番近くに居るのは自分で、Aが楽しく笑っていれば、それだけで幸せになれる。
柄にもなく、そんなクサいことを思った昼下がりだった。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時