名無しさん【NJ】 (ページ16)

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『話してくれて、ありがとう』

素直にそう言うことが出来たと思う

少なからず彼に私を可哀想に思う気持ちがあったとしても、もう別にどうでもよかった

「……こんな僕を許してくれるんですか」

『許すも何も……ナムジュンさんが素敵な人っていう事はよくわかってるつもりだから』

緊張していたのか、よかったと息を吐き出すナムジュンさんを見て

ほんとに心から自然に、好きだなあなんて思ったりした

「それで、お話っていうのはもうひとつあって」

また改まったようにもう一度私に向き合うナムジュンさん

まだ話したいことがあるの？

今度は何？また何かを隠しているの？

そう思って耳を傾けた時、聞こえてきた彼の言葉たちは私の心の奥底で眠っていたほんの少しの夢の希望を容赦なく殴りつけた

「俺の推薦という形で、本を出してみませんか？」

信じられなかった

彼からそんなことを言われるなんて思ってもなくて、完全に不意打ちで右ストレートくらった気分

『…それ、本気で言ってますか？』

沈黙が続いてやっと口にできた言葉は震えていて、泣きたくもないのに視界が滲んでいく

「はい。嫌ですか？」

あぁ
この人は分かってないんだ

本当に私のためを思って親切で言ってくれているんだと、それが余計に私を惨めにさせた

『ふざけないでください』

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