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時間が経つのは早いもので、まだそんな歳ではないが、大人になればなるほど時が早く過ぎている感覚に陥る。
信介さんと同じ屋根の下に暮らしてかれこれもう2ヶ月強が経った。
その間に手際の良い信介さんによって様々な準備が進められていた。
式は他社のお偉いさんや株主さんも呼ばなければならないため、何かと配慮せなならない部分が多くなる。
信介さんからはAはドレスとかそういうのさえやってもらえれば、と言いつけられているが、私も何か力になりたかった。
「えっと、こっちの資料は近藤さんのプロジェクトだから、近藤にお願い」
「了解です」
「小林さん、年末迄にこの資料を税務署まで提出ですけど、木村チームの紙って....」
「催促しとく、明日には出せって伝えるね」
「小林さん、パソコンの調子が悪いです」
「それは知らん」
冷え込む年末も迫ってきて、どこの会社も大忙し。勿論御社も例外ではなく、毎日睡眠時間を削って仕事だ。
その原因として、社長である信介さんが大変なやり手だということ。
仕事が増えた。会社の空気がピリッとして、効率が上がって、仕事が山のように入ってくる。毎年、年のノルマを達成できない人がいるが、今年はゼロ。
ゼロだ。
だがその分信介さんも大忙し。いや、彼が一番忙しい。会社に泊まるなんて事はしないが、眉間のしわと眠そうな顔を最近見かける。
早寝早起きが遅寝早起きになったのだから、当然だ。
「信...社長、珈琲か緑茶どっちがいいですか」
「む、緑茶頼むわ。すまんな、捌ききれん書類の手伝いなんてさせて」
「滅相もないですよ。現に優秀な私は夏でノルマ終わってますから。これって木村の企画書ですか」
「おん、来年のプロジェクトでな...」
自分の仕事はしっかりこなすのを前提に、こうして社長室に溜まる書類を捌く。これはいくら信介さんでも無理がある。
私はまだ入社数年のひよっこだが、雑務だけは自信がある。なので信介さんの代わりにタイピング作業を行うことも少なくない。
「あ、今日半休やないのか」
「忘れてました、ありがとうございます」
「しっかりしい、先輩が宮城に帰るんやろ。外行く時ついでにポストにこれ頼むな」
そう、今日は潔子先輩が宮城に帰る日だ。
遡るは10月末、同居開始して数週間。メンタルボロクソの時だった。
久しぶりに会いたい、それが実現したのはいつの日か楽しみにしていたライブの3日前だった。
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本誌と潔子さんが結婚する月日が違います、ご了承ください
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます!!自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした!最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです!! (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました! (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね!!小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます!!!初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…!侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです!(?)改めまして本当におめでとうございます! (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:本郷ゆい | 作者ホームページ:http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時:2019年11月11日 22時