使 ページ10
「あんまし、泣かんかったんやな」
下に降りれば車の側で、箱ティッシュ片手にスーツ姿の北さんが立っていた。
準備がいいことに、私がギャン泣きして出てくると思ったのだろう。
前、御一緒させて貰った時は心から、鬼上司だと思っていたが、なんだかんだ面倒見が良くて。それが可愛く見えて、思わず笑ってしまった。
大阪支店長だということは大阪暮らしが始まると思っていたが、車を30分弱走らせたところにあるマンションで止まってしまった。
北さん曰く、
「東京出張が多すぎて、ホテル代がアホらしゅうなってきてな。どうせ将来は東京に住むんやから」
と、1年ほど前に買ったそうだった。
しかし、1年前からちょいちょいです住んでいるらしいその家はあまりに殺風景で、寂しくて。どこかしら冷たく感じた。
「そのガラガラ、小さいなぁ」
「北さん、キャリーバックって言いましょうよ。必要最低限の物しか持ってきて無いんですよ」
持ってきたら彼のこと忘れらへんので、と苦笑いをすると、北さんは目を見開いていた。
「そんな無理して忘れようとせんでいいやろ。好きだった....いや、好きなんやろ」
「ほんでも北さんと結婚するのに、他の男の事考えとるなんて、お嫁さん失格ですよ。いくらお見合いでも」
「......まぁ、とりあえず今週末にでも一緒に買いに行こか。小林さんの事も色々教えて欲しいし」
そう言って、北さんは勝手に私の仕事用鞄の中からスマホを取りだし、こう言った。
「へいシリィ。今週の土曜日に北さんとデート」
「ぶふっ。ふふ、くくく」
"カレンダーに10月∞∂日に北さんとデートを追加しました"
北さんのへいシリィにツボり、デートに赤面。もう笑う声が我慢できなくなって、大声で笑ってしまった。
「もう、き、北さん。面白すぎます...。あははは、もうアカン腹筋が」
「それでええ、もうずっと笑っとれ」
至って真面目だった北さんは不本意だったらしいが、私が笑ってくれた事が嬉しいと、頭を撫でてくれはった。
時刻は既に18時を回っていたらしく、北さんの手料理を頂くことになった。
自分が作るのと同等、それよりおいしく感じて少しムカついたのは、黙っておこうと思う。
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狼 - 三角関係ってやつですねぇ…ヤバイですねぇいいですねぇ←(さいてi (2020年3月20日 21時) (
レス) id: 58dc9d80b9 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - ありがとうございます！！自分の中でもいかに北さんが喜ぶハッピーエンドというのが難題でした！最初から読んでいただけてるなんて、本当に光栄です。よろしければ少ないですが、小話と次作も読んでいただけると嬉しいです！！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 紫乃さん» ありがとうございます、めちゃくちゃうれしいです。当方本当に語彙がないので、国語辞書を片手に執筆したかいがありました！ (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます。どうしてもここまで北さんについて深く掘り下げると、肩を持ちたくなりますよね！！小話では北さんに救われるよう書くので、楽しんでいただけたらと思います。 (2020年3月7日 23時) (レス) id: 36ee06747a (このIDを非表示/違反報告)
猫太郎丸 - 完結おめでとうございます！！！初投稿されたときからずっと見てた作品で毎回ムズきゅんされました…！侑くんも北さんも報われてほしくてでも作者さんの完結方法はとてもスッキリして今とても爽やかです！（？）改めまして本当におめでとうございます！ (2020年3月7日 22時) (レス) id: 3db7769967 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本郷ゆい | 作者ホームページ：http://nanos.jp/honngoyui/
作成日時：2019年11月11日 22時
