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「安室くんっ…?」
「っ…すみません。取り乱しました」
彼女の手が震えていたのは、僕の気のせいだったのだろうか。
驚いたようにこちらを見つめるA。
それよりも、と話を続けようとする彼女を制止する。
そして周りの誰にも分からないように紙切れを渡した。
今夜9時に再びポアロに来るように、と。
「…今はどちらで働いているんです?」
「今は…っていうか明日から警視庁に戻るよ」
「へぇ、警視庁ですか」
ケーキを準備しながらそんな話をする。
明日から警視庁…ということは、仕事で会うことはないか。
彼女がボロを零すだとか、僕の存在を明かすなんてことはしないだろうけど、少し不安だった。
それに仕事で鉢合わせるとどうも本領を発揮できない気がするから。
「こちら、ケーキです」
「ありがとう…!」
いつの日かに開発したケーキをAに出せば、嬉しそうに1口食べる。
確か、甘いもの好きだったか。
パクパクと食べていく彼女に頬が緩むも、バレないようにすぐに顔を伏せた。
……帰って、来たのか。
未だに本人かどうか疑わしい。
ベルモットの変装でないことは確実だが、別の組織の可能性だってある。
今夜また会って、そこを確かめよう。
自分の目は確かだと思っているから。
.
ゼロくんは、安室透になっていた。
きっとこれも、公安の任務の一環だろう。
私がここに来てから、ずっと怖い顔しているから確実だろうなぁ。
それに、彼は私の事疑っていそうだ。
私が本物の有村Aなのか、とかね。
「安室くん」
「はい?」
「……ありがとう…ごめんね」
生きていてくれてありがとう
黙っていなくなってごめんね
そんな気持ちを込めて伝えてみれば、昔見たことがあるような笑みを浮かべた。
呆れたような笑い方。
「…僕は」
ゼロくんが口を開いた途端、足元からの視線が3つほど飛んできているのに気がつく。
彼と見つめ合っていた視線を下に落とせば、じーっ、と効果音がつくほど私を見つめている子供が3人いた。
「えーっと…どうしたのかな…?」
「お姉さん、安室さんの彼女?」
「へっ!?」
子供は時々、とんでもないことをぶっ込むらしい。
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結衣(プロフ) - RIOさん» ありがとうございます!すみません、確認したのですがfryさんが警視庁に行く描写が見つからず…。宜しければ何ページにあったか教えていただいてもいいですか? (2022年6月26日 22時) (レス) @page6 id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
RIO - めっちゃ面白いし感動しました!あの、一つ聞きたいんですが、降谷さんはなんで警視庁に行かれるんですか?仕事関係なら警察庁だと思うんですが、、警備企画課ですし、、 (2022年6月23日 1時) (レス) @page16 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
ヤギ(プロフ) - 結衣さん» 承知しました!念の為削除しましたので残っていたら教えてください! (2022年4月30日 13時) (レス) id: 4a42e1cfde (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - 谷さん» ご指摘ありがとうございます。修正させていただきます (2022年4月29日 19時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - ヤギさん» ご指摘ありがとうございます。後々のこともあるので今回は目を瞑ってくださると幸いです… (2022年4月29日 19時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結衣 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年4月27日 0時