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思わず止まった足。



下のポアロは電気がついているけれど、2階の毛利探偵事務所は真っ暗。



階段を駆け上がって、事務所のドアをドンドンと叩く。



「毛利さん…!毛利さん!蘭さんっ…コナンくん……っ…!」



出てよ…お願い、だから…。



扉に手を当てながらズルズルとその場に座り込む。



助けて……。



「たす、けて……れーくん…」



れーくんは…警察官になったんだよね…?



だったら守ってよっ…バカ…!!



弱々しくドアを叩いても、シンとしたままだった。



すると左側から階段を登ってくる音が。



首だけ動かせば、黒いパーカーを着た男の人と思われる人間が近づいてくる。



知らない人だ…。



カツカツ、と階段を登ってきている顔は逆光でよく見えない。



わ、たし…どうなるの…?



もう、アイドル出来ないの…?



「や、だ…やだやだ……。助けてっ…れーくん…!」



首を振りながら後ろに下がる。



よく見れば男の人は金属バットを持っていて。



それが振りかぶられた。



ギュッと目を瞑る。



最後くらい、れーくんに会いたかった…。



涙が頬を伝うのが分かると同時に、1度聞いたことのある優しい声が聞こえてきた。



「どうかしましたか?」



その声にハッと目を開ける。



うそ……れーくん…?



目の前の人は焦ったように階段を駆け下りて、どこかへ行ってしまった。



「あっ!待てっ…!」



それを追いかけようとする、れーくん。



私は腰が抜けているのにもかかわらず壁を伝って立ち上がり、彼の背中に飛びついた。



階段を何段飛ばしたかなんて、覚えていない。



「れーくんっ…れーくん…!怖かったぁ…」



青いシャツを着ている彼の背中を私の涙で濡らしていく。



いかないで



そう伝えるようにしっかりと抱き着いて。



「……上坂さん、落ち着いてください」



でも、私の願いは叶わなかった。



体を引き剥がされて私に合わせてしゃがんだれーくんは、困ったように笑う。



「僕はあなたの言う"れーくん"では無いんです。…安室です、覚えてますか?」



「…ぁ……」



そこでやっと冷静になった。



この人はれーくんじゃなくて…安室さん…?



よく見ればポアロのエプロンもしている。



「ご、ごめんなさいっ…!」



一瞬だけ、安室さんじゃない別の人に見えたんだ。



れーくんだ!って、思った。



だけど……違う…。



私は彼から目を背けるように後ろを向いた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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天音(プロフ) - すごく面白くて、読んでてドキドキしました!ゆっくりでもいいので、更新待ってます! (2022年7月17日 19時) (レス) @page17 id: 36647ec52c (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 頑張ってください!! (2022年7月17日 13時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 面白いです、応援しています!!更新待ってます (2022年7月17日 13時) (レス) @page17 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます! (2022年4月29日 19時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 面白いです!ゆっくりでいいので更新頑張ってください (2022年4月23日 19時) (レス) @page19 id: 99e1269188 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結衣 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年4月16日 23時

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