4.見えちゃったの ページ9
初めて目の前で殺人現場を目撃した日から1週間。
今日も今日とて仕事だった。
今日は午後からスタジオでダンスレッスン。
新曲のフル尺の振り入れをしたからさすがに疲れた。
短めの丈のTシャツで汗を拭い、いつもダンスを教えてくれる先生に礼をする。
私も早く帰ろうと身支度を済ませた。
未華子ちゃんは事務所に出社してていないから、鍵を閉めてくれるのはこのスタジオの管理人さん。
たまたま空いてるから、って見学ついでに鍵閉めをしてくれるみたい。
「山田さんありがとうございました!」
「こちらこそ、いつもご利用ありがとうね」
50代後半の山田さんは、少しだけ母を彷彿とさせる。
似ている訳では無いんだけど、何となく雰囲気が…ね。
笑って手を振ってくれる山田さんに手を振り返し、踵を返して家へと歩く。
辺りはもう既に真っ暗で、時刻は21時といったところかな。
知り合いの男性アイドルが表示されている電子掲示板が煌々と光る街中を歩き、自宅のマンションへ。
コツ、コツ、コツ…。
すると、後ろからなんだか怪しい足音が聞こえてきた。
振り返るも、そこには沢山の歩行者がいて誰の足音かわからない。
おかしいな、気の所為?
でも歌を仕事にしている分、耳はいいから気の所為ではないと思うんだけどな。
沢山聞える足音の中で、私の歩幅と全く同じテンポで近づいてくる足音がある。
…もしかして、付けられてる?
そう思えば全部が怪しく見えてきた。
足音、すれ違う帽子をかぶった人、スマホを持っている人。
ど、どうしよう…。
私が上坂Aだということを分かっているのならまだ良いが、ただの女性として後をつけられているのならタチが悪い。
段々と募ってくる恐怖心。
足を早めれば、後ろの足音も早くなる。
やだっ…怖い…!!
思わず走り出す。
やっぱり着いてくるのがわかった。
焦った思考の中で、先日の蘭さんの言葉を思い出す。
──「ちなみに2階はうちなので、なにかお困り事があったら来てください…!」
そうだ、毛利探偵事務所だ!
夜だけど、空いてるかな…?
もしかしたら不在かもしれないけれど、今は毛利さんに賭けるしかない。
私は記憶を頼りに毛利探偵事務所へと走る。
早く、早く…!
歩道を走っていれば、見覚えのある景色へと出た。
だけど、事務所のライトは着いていない。
あ…終わった…。
1339人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天音(プロフ) - すごく面白くて、読んでてドキドキしました!ゆっくりでもいいので、更新待ってます! (2022年7月17日 19時) (レス) @page17 id: 36647ec52c (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 頑張ってください!! (2022年7月17日 13時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 面白いです、応援しています!!更新待ってます (2022年7月17日 13時) (レス) @page17 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます! (2022年4月29日 19時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 面白いです!ゆっくりでいいので更新頑張ってください (2022年4月23日 19時) (レス) @page19 id: 99e1269188 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:結衣 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年4月16日 23時