｜ ページ3
──次の日
アイドル上坂A、5万人のファンを圧倒する！！
そんな文字が新聞記事に載っていた。
なんか恥ずかしいなぁ…なんて思いながら口元のマスクを上にずらす。
この新聞に写っているアイドルは、正真正銘私だ。
昨日の時間は嘘みたいに、普通の日がやってきた。
私はアイドルだから、バラエティにはあまり出ていない。
もちろんオファーも来るんだけど、断っている。
バラエティ能力を磨くよりも、私は歌って踊っていたいから。
出るテレビといえば音楽番組くらい。
雑誌の取材は社長に受けろって言われてるからよく受けてる。
近くの月刊雑誌には私が表紙になっていた。
その雑誌を手に取る。
そういや今日だったっけ、発売。
─初恋の人はいますか？
─えぇ？いないですよ〜。私、小さい頃からアイドルになりたくて、ずっと頑張ってたんですもん！
「…嘘つき」
私の、嘘つき。
初恋の人はずっと胸の中にいるのに、ファンの人に嫌われたくなくて嘘をついている。
初恋、って言っても5歳くらいのときなのにね。
「何が嘘なの？」
雑誌を商品棚にもどすと、下から声が聞こえた。
どこ？と周りを見てから下を見ると、メガネをした男の子が立っている。
「…坊やかな？」
「うん！お姉さん、嘘つきってその雑誌見ながら言ってたけど、誰が嘘つきなの？」
ランドセルの持ち手を握ってニコニコと笑う男の子。
この子、どこかで……。
それより質問に答えないと。
「嘘つきっていうのは……そうだなぁ、このアイドルの子だよ」
「アイドルって…上坂Aさん？」
「そう。この子、だいぶ嘘つきだと思うんだ」
「へぇ…よく知ってるんだね！」
「うん、よく知ってる」
だって私だもん。
けどそんなことは言えないから、坊やの頭を撫でる。
すると遠くから、この坊やを探しているであろう女の子の声が聞こえてきた。
「あっもう僕行くね！バイバイお姉さん！」
「うん、バイバイ」
小さな手に振り返し、女の子と手を繋いで歩いていく様子を見守る。
「もーっ、コナンくんどこ行ってたのよぉ」
コナンくん。
あ、そうだ、江戸川コナンくんだ。
前に怪盗キッドが盗んだ宝石を取り返したって新聞記事になってた。
その日は私が載ると思ってたのになぁ、ってガッカリしたっけ。
「あっ…私も帰んなきゃ…！」
まさか、また会うことになるなんて思わなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1339人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天音(プロフ) - すごく面白くて、読んでてドキドキしました！ゆっくりでもいいので、更新待ってます！ (2022年7月17日 19時) (
レス) @page17 id: 36647ec52c (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 頑張ってください！！ (2022年7月17日 13時) (レス) id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 面白いです、応援しています！！更新待ってます (2022年7月17日 13時) (レス) @page17 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！ (2022年4月29日 19時) (レス) id: 35e1b11f9c (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 面白いです！ゆっくりでいいので更新頑張ってください (2022年4月23日 19時) (レス) @page19 id: 99e1269188 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結衣 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月16日 23時
