赤い宝石Ⅱ〈×ym〉 (ページ15)

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奪われる前に ytym ページ15

「ヤマ〜！…………え？」

久しぶりにヤマに会えると思ってルンルンで来たのに、そこにはいるはずの無いアイツが。

百歩譲って、いるのは別にいいよ。うん。別に。
でもさ、なんでヤマはソイツの膝の上に座ってんの？それでなにその雰囲気。甘くない？？

『あ、お疲れ様です』

「ゆうと！久しぶり！」

ドアを開けたまま突っ立ってる俺に気付いた風磨が特に焦る様子もなくいつものように挨拶をする。
そして俺が求めてた人は俺と目が合うと満面の笑みでそのまま、その姿勢で俺を招く。

「…なにしてんの？」

一応笑顔を保つけど頬がひきつってて絶対上手く笑えてない。

「これはちょっとふざけてて、、」

えへへと照れながら笑う様子は可愛いけど、今の状況はとてもじゃないけど許せない。
お腹に回ってる腕を小さい手で握ってるのどれだけ危ないか分かってる？それ男側からするとだいぶクるやつなんだけど。

『急に山田くんが乗ってきたんすよ。まじ困るわ〜』

「離せ！」

『理不尽！』

ドヤ顔をしながら言った風磨に一発お見舞したあとに、俺が何も言わないのがマズイと思ったのか、焦りながら俺のところに来ては伺うように見つめてくる。

いつもなら目を合わせてあげるけど今日はダメ。

「ゆうと…？どうした？」

ソファに座ってニヤニヤとしている風磨に近づきながら拳をにぎりしめる。

「なにしてんの」

『いや、山田くんが寂しいって言ってたんで俺が裕翔くんの代わりにラブラブしてました』

「ラブラブってその言い方やめろ！」

「ヤマは黙ってて」

後ろからデカい声で叫ぶヤマにそう言えば途端に静かになり縮こまる。

ヤマは俺の言うことはよく聞くからね。

『まぁでも、拒否しなかったのは山田くんですから。そういうことっすよ。それに取っかえ引っ変えして不安な気持ちにさせる人よりも一途に思って大切にできる俺みたいなのが幸せに出来ると思うんですよね』

「俺の事言ってる？」

握りしめていた拳に力が入り、上げていた口角がぴくぴくと震えてるのが自分でもわかる。

『さぁ？誰のことかは特定しないすけど、俺はそんなことしないっすね』

「好きなの？ヤマのこと」

『好きっすよ』

「はぁっ！？！？ちょっとふたりとも何言ってんの！」

後輩のくせに俺を睨みながら言う風磨の胸ぐらを掴んで無理やり立たせるも、睨む目は止まずただ後ろでヤマの焦った声が聞こえる。

「ちょ、ゆうとっ！」

「涼介は渡さない」

『奪われたらお終いすけどね』