赤い宝石Ⅱ〈×ym〉 (ページ13)

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躾 ytym ページ13

※DV表現あり

「別れたい」

耳を疑った。

「……え？」

聞き間違いであることを願ってもう一度聞く。

「……別れたい」

俺の目を見てくれない。

俯いて、手を握りしめながら言うヤマから落ちた雫でカーペットの色が濃くなる。

「なんで？」

「もうつらい。裕翔が分からない」

声を震わせながら言うヤマは一向に顔を上げてくれない。

その顔が見たいのに。

「どうして？」

「どうしてって、なんで分からないの？ライブの時も収録中もずっとほかのメンバーのとこ行くし……俺がどんな思いで「ヤマが悪いんじゃん」

「ぇ……？」

ヤマの言葉を遮り俺が言った言葉に対して、目を見開き口を小さく空けてなにかに怯えたような顔をする。

やっとこっち見てくれた。

「そんなのヤマのせいじゃん。ヤマがいろんな人とイチャイチャしてるからでしょ？大ちゃんとか知念とか風磨とかマサとかさ。パッと思いつく人でこの人数だよ？そりゃ、俺だって他の人のとこにいったりもするよ。恋人が他の男と遊んでるんだよ？我慢するとか無理でしょ」

俺を見つめるヤマを見下ろしながら、ヤマの喋る隙が無いように捲したてる。

「でも、裕翔はそういうことだってしてるじゃん。俺にはしないのに」

「そういうことって？」

珍しく反論してくるヤマに成長を感じて、口元が弛んでしまうのを抑えながら聞き返せば、肩をビクッと揺らして小さな体をもっと小さくさせる。

あ、また顔見えなくなっちゃった。

「伊野尾ちゃんに壁ドンしたり、知念とか大ちゃんにハグしたり、」

「あー、そんなのただのスキンシップじゃん。メンバー間仲が良いのはいいことでしょ？」

「だけどっ、ちょっと度が過ぎてるっていうか……」

あーあ、後込んじゃった。

もっと反論してきてもいいのに。

「でもさ、ヤマだってスキンシップ激しくない？大ちゃんに抱きつくとか日常茶飯事じゃん？風磨にだって。ジャにのでよく見るよ。」

「っ、それは、ちがくて、」

「違うって何？何が違うの？俺と一緒じゃない？」

「…………」

とうとう何も言えなくなったのか体は小さく震えている。

カーペットの色はどんどん濃くなっていく。

そろそろ言った方がいいかな。

「ヤマ？ごめんね。俺はそのつもり全然無かったし、ヤマのこと大好きだよ。不安な気持ちにさせちゃってごめんね？」

「…………」

あれ？いつもならこれ言えば許してくれるのに。
なんでだろう。