赤い宝石Ⅱ〈×ym〉 (ページ11)

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不感症疑惑 tkym(リクエスト作品) ページ11

こんなもんなんだ。

初めての経験の感想は思ってたより淡白だった。

初体験は高校生の時。

初めての恋人との初めての行為はとても初々しかった。
でも快楽は得れなくて、痛みしかなかった。
そのせいで俺はこの行為が嫌いだった。

あの人は誘ってくるけど俺は気持ちくない。

やんわり断り続けていたらいつの間にか別れていた。

俺のことほんとは好きじゃないんだろ。って悲しそうな顔で言われた。

好きじゃなかったわけじゃない。

ちゃんと好きだった。

これが俺の最初で最後の体験。

俺の話をただ静かに聞いている雄也は何を思ってるのか分からない。

でも俺がこの行為を否定する理由をちゃんと知ってて欲しい。

「俺きもちいとか感じないんだと思う」

「…それその人が下手だっただけじゃないの？」

「……え？」

「山田は絶対快楽に弱いよ」

「いや、でも、全然きもちくなかったし、っ！」

「耳触っただけだよ？」

「びっくりしただけ」

「ほんと？」

「ふっ、ん、っ、ちょ、ちょっと！」

俺の耳を嫌な手つきで撫でてくる雄也の手を掴み無理やり止めさせる。

「なんでよ、きもちいんでしょ？」

「いったん、いったん待って！！」

「分かった(笑)」

勢いのまま待ってって言ってしまったけど自分でも何を待って欲しいのか分からないからすこし気まずい空気が流れる。

「もういい？」

「……」

さっきはちょっとびっくりしただけ。
きっと俺は気持ちよくなることができない。

どうしよう…

感じなかったら嫌われちゃうよな…

あ、

演技すればいいのか。

「いいよ」

「きて」

膝をポンポンと叩きながら言うから雄也の膝の上にそっと座る。

「目閉じて」

大丈夫、新人賞をとった男だろ。