赤い宝石〈×ym〉

戦い ytar×ym ページ31

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「はぁ、」

無意識についた溜息に内心少し驚きながらも遠くを見つめる

隣に温かい気配を感じたと思えばソファが少し沈む

誰か来たんだろう。

誰かなんかは今はどうだっていい。

とりあえず誰かに甘えたい。

この疲弊した体を癒やして欲しい。

その一心で隣にいる人の名前を呼ぶ

「大ちゃ、」

「おいで」

太陽のような笑顔で俺を迎え入れてくれる

あたたかい。

疲弊している体がどんどん回復していく気がする

ずっとこの腕の中にいたい。

安心で零れ落ちそうになる涙を堪え大ちゃんにしがみつく





どのくらい時間が経ったんだろう
多分あんまり経っていない

もっと、もっと、と思っていた矢先に大ちゃんがスタッフさんに呼ばれる

「ごめん、行ってくるな。すぐ戻るから」

「…うん」

本当は行ってほしくない。

今はずっとそばに居てほしい。

温もりが消えていく

微かに残る大ちゃんの匂い・感覚を離さないように自分自身を抱きしめる



この疲弊した体に一人は思っていたよりきついらしい
他人事のように頭の片隅で思う



何者かも分からない不安に襲われる

寂しい。



大ちゃんが戻ってくるのをじっと待っていれば横から抱きしめられる

大ちゃんじゃないことはすぐに分かった

「ゆうと」

「やま、頑張ったね」

名前を呼べばより強く抱きしめられる

新たにやってきた温もりを今度こそ離さないように力を入れる

だいぶ力を入れているから痛いはずなのに、裕翔は何も言わずに抱きしめてくれる


やっぱりあたたかい。

堪えきれない涙が頬を伝う




人に甘えるなんて柄じゃない

でも、大ちゃんと裕翔はそれを汲み取ってさりげなく甘やかしてくれる




ドアが開く音がすれば、後ろから覚えのある温もりに包まれる

「ごめん、遅くなった」

「大ちゃ、ゆうと、」



ありがとう。



そう告げ、重い瞼に従う


「ゆっくり休んで」

どちらかが発した声を合図に意識を手放す

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