赤い宝石〈×ym〉

同窓会 tkym ページ26

「行ってきます」

「行ってらっしゃい、飲みすぎるなよ。あ、あと、ちゃんと連絡しろよ。」

「はいはーい」

高校の同窓会に行くという山田を見送る

心配だな。
こう思うのも仕方がないことだろう。
何故なら俺と山田は俗に言う恋人

しかも、山田はとてつもなく顔が整っている

それはもう恐ろしい程に

100人に山田の写真を見せたら100人が綺麗と言うだろう。

だが、それを本人はあまり自覚していない



山田との出会いは高校の保健室

保健委員の山田は、ヤンチャしていた俺の怪我の手当てをよくしてくれていた

最初の頃は、山田がこんなに綺麗な顔をしていることなんか知らなかった。
何なら、地味な奴だな。と思っていたぐらいだ

高校生の山田は今と正反対で、長くて重い前髪、度が強い眼鏡をかけており、顔がほぼ見えない
所詮、陰キャと呼ばれてる部類だ

でも、関わっていくうちによく喋るようになった

山田と関わり知った、山田の性格
優しくて強い。でも、抱え込んでしまう小さな体
大きく見えて意外と小さい背中

そんな山田を俺が守りたいと思うようになったのは自然なことだった

アタックしてアタックしてアタックしまくって出会った一年後にやっとOKをもらえた
俺が三年、山田が二年になった春に、俺の恋にも春が訪れたってわけ。



俺が初めて山田の素顔を見たのは付き合ってすぐのことだった

いい感じの雰囲気になってキスをして、ベッドに押し倒せば山田自ら‟邪魔だ”と眼鏡を外し、前髪を横に流す

俺は絶句した。あまりの美貌に息をするのも忘れるほど。

行為の後、どうして顔を隠してるのかを山田に聞けば、両親から隠せと言われているとのこと

確かに、我が子が危険な目に合うのは親としてなんとしてでも防ぎたい。俺が山田の親だったら同じことさせただろうな。

まあ、そんなこんなで今に至る

ちなみに高校三年間山田は両親の言いつけを守り、素顔を俺以外に見せなかったらしい

真面目だな。なんて軽く流したが、心の中は優越感でいっぱいだった


それが今日、崩される
同窓会に行けば、山田の素顔を知らなかった連中共が山田に群がるだろう
ワンチャンなんてことも誘われるだろう

「大丈夫かな」

山田が家を出て4時間
一向に連絡は来ない
話に花を咲かせているのならばいいが、もしものことが起きてしまったら…

「うああ！駄目だ。行こう」

もういい時間だ。迎えに行ってもいい頃だろう



居酒屋の引き戸を開け、山田を探す

「あ、」

・→←･

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す