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side 桐山
微かな話し声で目が覚めた。
ソファで寝たせいか、身体の節々に軋みを感じる。
30過ぎたら寝具もこだわらなあかんな、なんてトントンと老人のように腰を叩きつつ起き上がった。
桃「シゲ怖い」
声のする方へ向かえば洗面所にのんちゃんと、その奥にシゲの姿が見えた。
正直詳しい状況は理解できないが、シゲがいつもと違う雰囲気である事は一瞬で分かった。
赤「怖いって酷いやん!こんなポップでキャッチーなかわい子ちゃん捕まえて」
桃「自分で言うんかい」
赤「やってほんまの事やしー…せや、小滝」
会話の途中、シゲと目が合った。しかし俺に何か言う訳でもなくすぐに望に視線を戻す。
獣が獲物を狙うような、そんなシゲの目に俺は起き抜け早々にぶるりと身震いした。
赤「そんなにキスしたいんやったら、おすそわけしたるわ」
そう言ってシゲは自分より高い位置にある首を引き寄せた。
映画のワンシーンのようにすら見える光景は、欲の欠片も感じられない。だが、確かにシゲの唇は望の唇に触れていた。
ごくあっさりと離れた唇に本人曰くポップでキャッチーな笑みを浮かべるシゲ。
赤「淳太にキスする言うんやったら、俺がいつでもしたるで?」
ぞっとするほど愛嬌のある笑窪がこの一連の行動がシゲの牽制だと理解させる。のんちゃんはもちろんの事、さっきの視線からしてそれは俺に対してもだ。
ほんまに、淳太くんの恋人になるのに一番厄介なんはシゲだと再確認させられた。
のんちゃんも同じことを思っているのか、奪われた唇を手の甲でごしごしと擦りながらシゲを睨みつけていた。
第1.5章 重岡の牽制 終
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作者名:ゆい | 作成日時:2021年2月5日 4時