愛されJW最年長 (ページ28)

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SIDE 小瀧

桃「そんなら何でなん？」

俺はテーブルの上の缶を一つ引き寄せ、そのタブを開けつつ淳太に問いかけた。

純粋な疑問だ。
きっと下で何かがあったであろう事は濱ちゃんとのアイコンタクト以前に、ここに入ってきた三人の表情で理解した。しかしその変化が何なのか、淳太の感情がどう傾いたのかは分からない。

納得のいく答えが欲しい俺は淳太を真っすぐと見据え、言葉を重ねた。

桃「誰も選ばん理由教えてくれへんか？」
黄「･･･選ばんやなくて、選べんねん」

言って淳太は一度大きく息を吐き出した。
それから下唇を噛み、茹でた蛸のように耳まで赤くして小さく言葉を紡ぐ。

黄「全員おんなじだけ好きやねん」
桃「えっ？それって･･･」
黄「俺にとって誰か一人なんて選べんくらいに全員好きやねん」

桃「･･･それは恋愛対象としてなんか？」

胸がドキリと音を立てる。
何度だって自分以外を選ぶ淳太を想像した。先ほど振られる覚悟を必死に決めたのに、俺の中には底に眠っていた希望の文字がふわふわと浮き上がってきた。

黄「たぶん･･･ようお前らが恋愛経験低いって俺ん事イジってくるけど、ほんまにそんな経験ないんよ･･･やからコレが恋愛として何かはっきりとは分からん」

淳太は言いながら目線を泳がせ、まるで初恋を語る少女のようにもじもじとする。
普段の俺なら、おっさんが何しとんねん！と間髪入れずにツッこむのだが、幸福指数の上がりきった脳は関西の血よりも欲望に忠実だった。

緑「どあっ！！のんちゃんいきなり何しとんねん？！」
黄「か、神ちゃん大丈夫！？ちょっ、のんちゃん神ちゃんが潰れとる！潰れとるって！」

俺は嬉しさのあまり淳太に抱きついた。
間に神ちゃんが居たらしいが、気持ちを抑えきれずに神ちゃん毎淳太にダイブ。

桃「ちっさくて見えんかったわ」
緑「チビちゃうわ！のんちゃん重いねん、はよ退いてやー」
桃「無理！淳太の引力が俺を引き寄せとって離れられん！」
緑「意味わからんて。ほんま重いねん！」

ぐいぐいと俺を押し返す神ちゃんに反発するように、俺は淳太の腕に巻き付く。
最初はあたふたしていた淳太だったが、いつの間にか和やかな空気が部屋に広がり、メンバー誰もが肌に馴染む楽しい空気に一緒になって笑っていた。

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