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side 濱田
エレベーターの浮遊感が酒に酔った頭を刺激する。
神ちゃんに連れられ部屋を出た俺と淳太は重い口を閉ざしたままに、沈黙が怖いのであろう神ちゃんの話しに耳を傾けた。
７人分の隠された感情を一気に吸収した空気は重苦しく、息をしようにも肺にうまいこと酸素が回らずにいた。
誰が悪いとか、誰が正しいとか、そういう話しでもないから堂々巡りで、その中の中心にいた淳太はさぞ息苦しかったであろう。
だから、「連れ出してくれてありがとう」は俺の言葉であり淳太の言葉でもある。
緑「･･･おん」
どう返答すべきか悩んだ神ちゃんは短くうつむき加減に呟いた。
きっと神ちゃんも本題に触れるのが怖いんだ。
淳太に目をやれば未だに頭の整理が出来ずに自分のつま先を睨みつけている。
関係を壊したくないと言った淳太。それに自分からナイフを差し込み亀裂を作ったのだから、辛くないはずがない。
紫「ごめんな」
全部を背負わせてしまった事に、俺はぽつりと漏らし淳太の手をとった。
紫「感情なんて一日やそこらでまとまるもんとちゃうやんな。一人からの好意やって気持ちがのっかっとるんやから重いやろうに、六人分もいっぺんにはしんどい」
黄「はまちゃ、」
紫「今は何も言わんでいい。淳太がどれだけメンバーを大事に思っていて傷つけたくないって気持ちはよう伝わっとる。やから、言いたくない言葉は使わんでいい･･････淳太が俺たちを見てきてくれたように、俺も皆もそれぞれを見てきたんや。どんな事あっても離れる事は絶対にない」
これが俺の本心だ。
この先、淳太が誰かを選んだとしてもメンバー同士の絆は絶対に揺るがない。
照史が気持ちを伝えようとしたのだって、自分の感情に区切りをつけてメンバーとして全員で次のステップに進みたかったからだろう。
自分の感情に素直なシゲがあそこまで淳太への想いを直接的に口にしなかったのも他のメンバーの気持ちを知っていたから。
他の皆だって同じだ。
紫「な、神ちゃん！」
ただ黙って俺を見やる淳太に伝わったか不安になり、一歩先で俺たちを見守っていた神ちゃんにへらりと笑った。
紫「っうおお！？」
神ちゃんの返事は意外にもタックルさながらな抱きつきで返ってきた。
びっくりして淳太の方に体をよろめいたが、淳太が慌てて支えてくれる。
紫「どしたどした」
緑「濱ちゃん大好き！」
紫「えっ？えっ？」
緑「･･･せやんな、俺らは絶対離れへんよな」
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作者名：ゆい | 作成日時：2021年2月5日 4時
