6 ページ6
田中side
「お薬効いてきてるからね〜。焦んないで。ゆっくり吸ってー、吐いてー。」
支えがないと倒れるくらいにふらふらなAを抱えて、これまた力の入らないAの代わりにネブライザーを押さえる。
緊張の糸が切れたのか、部屋で横になった途端に喘息発作。俺が様子を見にきた頃にはもうぐったり…って感じ。
2人で仲良くお昼寝してるジェシーときょものことも気になるけど、ここは動けないし…なんて思ってたら、高地からの連絡で結構なダメージを喰らった。
A「じゅっ、くん…!」
「ん、ちょっとまって、ごめんごめん。いいよ?手どけな?」
まぁ、俺よりもダメージ大きい人がここにいるから。へこんでる暇なんてない。
そこらへんにあったゴミ箱を急いで近付けると、勢いよくリバース。楽しかった昼飯は、一瞬のうちに消え去った。
吐きながら泣くもんだから呼吸も怪しくなって、さっき喘息治ったばっかりなのにな…。
「焦んないよ?ゆっくり吸ってー、吐いて…。」
これもさっき言った言葉、今日で何回目だろうね。
ぐったりって言葉がピッタリのAとリビングに降りて、ソファーで脱水予防の点滴を打てば、すんなりと眠りについてくれて一安心。
夕飯はAのお疲れ様会ってことにしてたんだけど、この様子じゃ厳しそう。
つっても俺は手の込んだものなんて作れないし、うん、鍋だな鍋。Aが美味そうって言ってた白だし鍋にけってー。
きょもが頑張ってくれた洗濯物を取り込んだり、野菜切ったりしてたらいつのまにか日が暮れていた。
.
森本「んじゃ、Aおつかれさま〜!かんぱーい!」
慎太郎のいつもより控えめな声に合わせてカチンとぶつかったのはグラスじゃなくて湯呑み。
豪華なオードブルじゃなくて、あっさりとしたお鍋だけど、ここにいるみんなの顔が満足そうだから、これでいいんだ。
北斗「ジェシーゆっくり食べな〜。よく噛んで?」
高地「大我もAも、こんくらいは食べような。」
体調不良で共鳴しあう3人も、少しずつだけど食べれているようで良かった。
森本「え、マジうまいよ樹!おれごま油入れちゃおーっと。あ、北斗七味いる?」
北斗「もらうー。ラー油も合いそうじゃない?これ。」
はいはい、がっつきたいやつは自由にやってくれ。
ーンッ!…ッゴホゲホゲホ…ッエ
京本「おっと、ジェシー大丈夫?」
時折聞こえる嫌なむせ方が、なんとなく気になるだけ。
それだけが気がかりな夜だった。
.
1112人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雅(プロフ) - 更新ありがとうございます!そして、感動をありがとうございます! (8月16日 19時) (レス) @page30 id: 7007161c36 (このIDを非表示/違反報告)
結夏(プロフ) - 更新ありがとうございます!!ほぼ毎日何度も何度も読み直しています!きなりさんのお話大好きです!応援してます! (8月16日 6時) (レス) @page30 id: 27b7b36f37 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 数日前からまた1から読み返していたばかりだったので、新しく更新されていてとても驚きました!!すごく嬉しいです🥰これからも無理のない程度に楽しみながらお話をあげてくださると嬉しいです!応援しています🫶 (8月16日 1時) (レス) @page30 id: c72fa43d6e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - 更新されたこと、とても嬉しいです。ありがとうございます。きなりさんのペースで、また物語を紡いでくれたらと思います。 (8月15日 23時) (レス) @page30 id: 607ec5cd06 (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - 色々大変でしたね💦更新ありがとうございます😌 (2022年9月26日 23時) (レス) @page20 id: 7007161c36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きなり | 作成日時:2022年6月20日 20時