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走った。
久しぶりに、全力で。
苦しいとか、きついとか、関係なく。
電話とか、メールとかじゃなくて。いま、みんなに伝えたくて。
―え!?Aちゃん!?
そんな看護師さんの声も無視して、大好きな背中に飛びつく。
―っうお!
なんて、変な声出してるけど気にしないよ。
早く、伝えたいことがあるんだ。
田中「ん。わーかった、わかった。でも、まずは落ち着け。な?」
森本「ッグス…。A〜!まじでよく頑張ったなぁ!」
京本「はいはい、とりあえずみんな顔拭いて!Aは吸入しなさい!」
走りすぎたせいで声にならなくても、ちゃんとわかってくれる。
結局みんなでぐちゃぐちゃになって笑って泣いた。
「ただいま!」
北斗「はい、おかえり。よく頑張りました…!」
高地「っあー!泣いた顔で帰ってくるから、どっちか分かんなかったじゃん!」
なんだかこのふたりには、笑顔で報告したくって。
ほらね、やっぱり。私よりも目の前のふたりが泣いちゃうから、我慢しなきゃって思ってた涙が引っ込んじゃったじゃん。
お祝いメニューじゃないけど…って言いながらほくちゃんが出してくれた夜ごはんは、いつもよりもおいしくて、いつもよりもあったかくて、どんなごちそうよりも嬉しかった。
高地「Aが大学生か〜。」
北斗「なにそのおじいちゃん目線。まあ、こーんなに小さかったのは間違いないけどね。」
高地「俺らも年取ったな…」
晩酌中のみんなに混ざってジェシーとアイスを食べていると、始まった会話。
ジェ「こーちとほくと、おじいちゃんみたいだね〜。」
「ね〜。おじいちゃんが二人も。」
ジェ「やったー!おじいちゃん二人になった!」
そんな無邪気なジェシーを見て、また二人のおじいちゃんが盛り上がる。
そんなみんなを見て、なんだかすごく、しあわせだと思った。
田中「いい顔してる。」
珍しくお酒を飲んで顔が赤い樹くんが、心底幸せそうな顔でそう言うから。
「うん。いま、すっごく幸せなの。」
「生きててよかったって、そう、思ったの。」
ーんはは!樹泣きすぎだろ!
気がつけば大好きな匂いに包まれて、そんな声が聞こえていた。
もうすぐ春が来る。
一歩ずつ、私らしく。
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雅(プロフ) - 更新ありがとうございます!次回も楽しみに待っています (5月5日 22時) (レス) @page35 id: a83a9d93f0 (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - 更新ありがとうございます!そして、感動をありがとうございます! (8月16日 19時) (レス) @page30 id: 7007161c36 (このIDを非表示/違反報告)
結夏(プロフ) - 更新ありがとうございます!!ほぼ毎日何度も何度も読み直しています!きなりさんのお話大好きです!応援してます! (8月16日 6時) (レス) @page30 id: 27b7b36f37 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 数日前からまた1から読み返していたばかりだったので、新しく更新されていてとても驚きました!!すごく嬉しいです🥰これからも無理のない程度に楽しみながらお話をあげてくださると嬉しいです!応援しています🫶 (8月16日 1時) (レス) @page30 id: c72fa43d6e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - 更新されたこと、とても嬉しいです。ありがとうございます。きなりさんのペースで、また物語を紡いでくれたらと思います。 (8月15日 23時) (レス) @page30 id: 607ec5cd06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなり | 作成日時:2022年6月20日 20時