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しっかり寝なさいって言われたけれど、緊張した心は落ち着くわけもなく。
寝たような寝ていないような感覚のまま朝を迎えた。
ベッドから降りてカーテンを開けて。
勢いよく入り込む光と清々しいほどの青空に、「日頃の行いのおかげやな!」って恭平の声が聞こえてきそうで笑っちゃう。
ふと目に入ったのは、ハンガーにかかる皺ひとつない制服。
他の人に比べたら着る回数も少なかったけれど、たくさんの思い出が詰まっている。
これを買った時はまだママとふたりで。
これを着てパパとジェシーと出会って。
これを着てお別れして。みんなと出会って。
これを着て挑戦をした。
今日が最後って実感は全くないけれど、いつもより丁寧に着ようと思うんだ。
そう思えば思うほど、涙があふれて仕方がなかった。
―早くない?もう泣いてんの?
そう言って笑うほくちゃんは、いつかみたいに大きな身体で抱きしめてくれた。
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「じゃあ、いってきます。」
ピカピアに磨かれたローファーを履いて振り返ると、大好きなみんなの笑顔。
ジェ「いってらっしゃい!」
元気いっぱいのジェシーに続いて聞こえる声を背に、一歩を踏み出す。
高校までの定期も、いつもの電車も、最寄り駅も。
通学路が同じ同級生も、駅からの道のりも、全部全部今日で最後なんだと思うと、センチメンタルな気分になる。
なまえ「A〜!おはよ!」
この大好きな声をここで聞くのも最後なのかな。
なまえ「久しぶりの再会なのに元気なさすぎ!いろいろ考えすぎないで、今日は楽しまなきゃなんだからね?」
恭平「お!佐藤おはー!って、お前泣くんはまだ早すぎやって…!ほら、笑えー!」
ふたりしてほっぺをむにむに引っ張るもんだから、恥ずかしくて笑ってしまう。
そうそう、それそれ!って微笑む二人と出会えてよかった。
岩本「そんだけ笑えてたら大丈夫だな〜!」
大きな手がポンっと頭に乗ったかと思ったら、これまた会いたかった人。
「うん。大丈夫だよ。頑張るから、見ててね。」
岩本「ん。あいつらみんな来るんだろ?目立って仕方ねぇな。ま、なんかあったらすぐ言え。大野先生は動けないけど、おれは基本自由だから。」
そう言って笑うひーくんはいつものラフな格好じゃなくて、ビシッとスーツを着こなしていて。
先生やばい…
岩本先生に主役の座奪われる…
なんてつぶやくふたりに苦笑いで保健室へ去っていった。
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雅(プロフ) - 更新ありがとうございます!次回も楽しみに待っています (5月5日 22時) (レス) @page35 id: a83a9d93f0 (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - 更新ありがとうございます!そして、感動をありがとうございます! (8月16日 19時) (レス) @page30 id: 7007161c36 (このIDを非表示/違反報告)
結夏(プロフ) - 更新ありがとうございます!!ほぼ毎日何度も何度も読み直しています!きなりさんのお話大好きです!応援してます! (8月16日 6時) (レス) @page30 id: 27b7b36f37 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 数日前からまた1から読み返していたばかりだったので、新しく更新されていてとても驚きました!!すごく嬉しいです🥰これからも無理のない程度に楽しみながらお話をあげてくださると嬉しいです!応援しています🫶 (8月16日 1時) (レス) @page30 id: c72fa43d6e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - 更新されたこと、とても嬉しいです。ありがとうございます。きなりさんのペースで、また物語を紡いでくれたらと思います。 (8月15日 23時) (レス) @page30 id: 607ec5cd06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなり | 作成日時:2022年6月20日 20時