STory 6 (ページ10)

今日:58 hit、昨日:39 hit、合計:218,975 hit

2 ページ10

.

ハッとして顔を上げると、今年から同じクラスになった女の子。
ひーくんに絆創膏を貼ってもらっているから、体育で転んだのかな…。

バチッと目があって、思わずそらしてしまう。

ーいいね、私も今度サボろっかな〜。岩本先生に勉強教えてもらいたーい！

ーいいね、なら私も〜！

付き添いの子と笑い合う彼女の声が、保健室から出て行った後も頭の中に響いていた。

照「A？ふぅーって息吐いて、力抜こう。大丈夫、もう俺しかいないから。我慢しなくていい。」

ポン、ポンって背中を叩くひーくんの声が聞こえる。
真似して？って大袈裟に息を吐くから、つられて一緒に深呼吸をすると、少しずつクリアになってくる視界。

照「ごめん、集中してたから声かけなかったけど、カーテン閉めたらよかったな…。嫌な思いさせた。」

「ううん。だいじょうぶ、慣れてるし。…事実だから。」

「私だって本当は体育出たいんだよ〜？不平等だ！」

照「あんま気にすんな。Aは自分の身体のことを1番に考えること。いい？」

「はいはーい。」

いかにも心配ですって顔で話すひーくんだから、咄嗟に強がってみたけど。
久しぶりに、そして面と向かって言われたから、結構キツいところがあった。

教室に戻ってからもなんとなく視線を感じるし、コソコソと話す姿を見ると私のことかなって考えちゃって、心身共に疲れる1日だった。

.
高地side

A「ん？なんで？何でこうなるの…？」

北斗「これはさっきと違って、こっちの公式を使うから。引っかからないように気をつけて解いてごらん？」

A「んぁ〜そっか…ここが、これで…」

「A〜キリがいいとこまで終わったら風呂。そろそろ樹も帰ってくるから、先に入っちゃって？」

夕飯の後、リビングのテーブルに広げられた参考書やノートたち。俺らの得意科目に合わせて色分けされた付箋がびっしりと貼られている。

北斗と一緒に解いたページから黒い付箋が一枚剥がされたのを見て、声をかけた。

A「んー、もうちょっと解いてから…これは？この公式で合ってる？」

北斗「ねぇ、高地の話聞いてたー？俺もそろそろ眠いから、また明日にしよう？さ、今日の入浴剤何にする〜？」

A「ん…あれ、たいちゃんが貰ってきてた桜のやつ…。」

納得いかない顔だけど、それでいい。

岩本くんから入った連絡で、しばらく要注意のA。
湯冷めしないように紅茶でも淹れといてやるか…。

.