STory 6 (ページ6)

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楽しかった。
久しぶりに、たくさん喋って、たくさん笑った。

身体が動かせなくても、守れるって、守りたいって気持ちは絶対に伝わるんだよって、車椅子のお兄さんと奥さんが教えてくれた。

Aは、待ってくれた。俺が頑張るのを見ててくれた。笑ってくれた。

それだけでいいんだって、なんだかホッとした。寝る前に、ほくとのトントンをおねだりしちゃったくらい心がぽかぽかだった。

田中side

「冷たいけど、ごめんな〜？」

起きてないだろうけど、とりあえず謝ってから小さな耳に体温計をあてる。

軽快な音とともに伝えられたのは、38℃を超える高熱。

もう一度声をかけて、十分に温めたステートをパジャマの襟元から滑り込ませる。

うっすら目を開けて身を捩るけど、熱のせいか全く意味のない抵抗にちょっと心配になる。

呼吸音もクリアだし、お腹も大丈夫。
昨日いろいろあったみたいだし、疲れからくる熱かなと判断して、肩までしっかり布団をかけた。

北斗「ジェシーどう？熱高い？」

「39℃近いね…まぁ、気になるところはないから。疲れと、気持ち的にもホッとしたんじゃない？一日休めば元気になるよ。」

高地「だってさ、A。んな顔しなーいの！」

「あ、じゃあ冷えピタ貼ってきてくれる？」

A「っうん！！貼る！たいちゃん、冷えピタどこー！？」

バタバタとキッチンに走って行ったAを苦笑いで見送って、ジェシーに水を飲ませようと奮闘する慎太郎をこれまた苦笑いで眺めた。

森本side

樹の診察で軽く目が覚めたのか、俺が近づくと潤んだ瞳で見つめてきたジェシー。

おでこに触れるとしっかり伝わる熱に、思わず頬を撫でる。

「あっちぃな…。ちょっと起きてお水飲もっか。」

ベッドのリクライニングを起こして、背中にクッションを挟むと、グラっと倒れる身体。

俺もベッドに上がって、もたれさせるけど、これ全く力入ってないな…。

「ジェシー、お口入れるよ？ごっくんね？」

聞こえてるのか聞こえてないのか、少しだけ開いた口に水を含ませると、コクンと喉が動いた瞬間に激しくむせた。

ｸﾞｯ…ｹﾞｯﾎｹﾞﾎ…やぁっ…

「っとと、ごめんごめん。苦しかったな…ゆっくりね、もう一回飲んでみよ。」

ジェ「んんっ！やぁだ…！」

俺の持つコップを震える手で押し返すジェシーは、ハァハァと息が上がっていて。

無理そ…？って諸々の荷物を持って近づいてきた樹に向かって苦笑いを浮かべるしかなかった。

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