STory 6 (ページ44)

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ふと目が覚めて気が付く、ずーんと重い身体。
なんとなく息がしづらくて胸のあたりを摩ろうとしたけれど、摩るために手を動かすのも億劫で。そんなんだから、目も開けられない。

なんで寝てるんだろ…
あれ？試験終わって、帰ってきたっけ…
んー？樹くん、来たっけ…

ぐるぐる考えてみたけれど、一向に思い出せないうえにズンズンと響く頭痛が邪魔をしてくる。

しばらくそのままで耐えてみたけど、気付いたら最後。息がしづらいのは気持ち悪いからで、せりあがってくる唾をごくんと飲みこんだ、と同時に次の波が襲ってきた。

起きなきゃ、でも動けない、でも汚しちゃだめ、我慢できない…

必死に手を動かして、口元を覆った時。

グイっと背中から抱き起されて、口元の手を外されて。
いいよーって、たぶん慎ちゃんの声が聞こえてからは散々だった。

胃がひっくり返ったかと思うくらいに吐いて、吐くものないのに止まらなくて、息できなくて苦しくて、頭も痛くて最悪。

あら、吐いちゃった？
ゆっくりー、焦んな
こっちの手、ちょうだいね
ちょっと痛いよ？
がんばれ～えらいなぁ

最悪なんだけど、ずーっと欲しかったぬくもりをそばに感じて、うれしくて涙が出てくる。

あー、樹が泣かした！
ハア？筋注なんて誰がやってもいてぇから！
うるさい、ジェシーが起きるでしょ。
きょもまで怒んないでよ～

もう、みんなうるさいよ…。ふふっ…。

あら、今度は笑ってんの？
ちょっと落ち着いたなら、目開けてごらん？

あったかいタオルで顔を拭いてくれたほくちゃんの声に、そっと目を開ける。
やっぱり私を支えてくれてたのは慎ちゃんで、ありがとうって言えば、一人にしちゃってごめんねって申し訳なさそうに言うの。

そんな顔してほしくなくて、慎ちゃんの逞しい胸に身体を預けると、ぽんぽんって撫ででくれた。

北斗「お口ゆすげる？ここにぺってしていいから。」

っ…

水を口に含んだ途端に、また気持ち悪くなって口の中に嫌な感じが広がる。

森本「おっと…。ん、出しちゃっていいよ。きついな～、もう吐くもん無いのにねぇ。」

京本「A～冷たいのにしよっか。すっきりしたら寝ようね。」

たいちゃんが持ってきてくれたお水は冷たくて気持ちよくて、なんとか大丈夫だった。

…ほくちゃん

ごめんねって伝えたかったのに、体力の限界で目が閉じそうで、たいして力の入らない手でぎゅっと握ってみる。

北斗「ん。わかってるよ…。ありがとね。」

よかった、伝わった。