STory 6 (ページ41)

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雨垂れ石を穿てページ41

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ドキドキとうるさい心臓を静めようと、たいちゃんがくれたお守りをギュッと握りしめて、鞄に戻した。

深呼吸…。

『始め！』

試験管の声を聞いて、鉛筆を持つ。
五角形のそれは大ちゃんがクラス全員にプレゼントしてくれた、勝負鉛筆。

ぺらっとめくった問題用紙の第一問は、慎ちゃんの声で再生された。
たくさん教えてもらったやつ。大丈夫、これはできる。

ー無駄に鉛筆の音が大きい人っているけど、Aなりの解き方でいいからね。

他の人は気にしない。自分のペースで、だよね、ほくちゃん。

ー解けないやつは飛ばせ。ちっちゃい問題でも、コツコツ解いたら、点に繋がるから。

樹くんの言葉を思い出して、次の問題に進む。
全部終わってから戻ってこよう。

ー最後は必ず確認！大丈夫って思わないこと、しっかり見直しすること！

本当だ…。こーちの言う通りだ。
危なかったぁ…！

『やめ。鉛筆を置いてください。』

回収される解答用紙に祈りを込めて、休憩時間では次の科目の最終確認。

Aがんばれ！って書かれた、可愛い弟からのチョコを食べてエネルギーも補給して。

一喜一憂してられないくらいにハードな試験を乗り切った後は、疲れすぎてしばらく魂が抜けてたと思う。

なまえ「Aー？疲れたねぇ〜。ほい、ちょっとお茶飲みな？」

気付けば目の前になまえがいて、広げっぱなしの消しゴムや鉛筆を片付けながら、水筒を握らせてくれていた。

あったかいお茶をコクコクと飲んで、ようやくひと息つく。

「ごめん！荷物、ありがとう…。」

なまえ「試験終わってからAと連絡取れないって、みんなから電話かかってきたからびっくりしたよ。とりあえず誰かに連絡しな？」

「わ、ほんとだ…。通知やばい。」

スマホの電源を入れると、ブーブーと鳴り止まない通知。
とりあえず1番上にあった樹くんに電話をかけると、もう会場の外に迎えに来てるらしい。

「なまえも一緒に帰る？樹くん、車で送ってくれるって。」

なまえ「あー、ありがたいけど、恭平と会う約束してて…！センターお疲れ会？してくれるらしい〜。Aにも今度なんか奢ってくれるって！何がいいかなぁ〜？」

私の分の荷物を持って、隠しきれないニヤけ顔で先を歩くなまえを必死に追いかける。

やっと、やっと、ここまで来た。
結果がどうなるかなんて、まだ分からないけれど、みんなに支えてもらって受けられた試験に悔いはない！…はず。

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