STory 6 (ページ38)

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森本side

北斗と樹が説得してくれて、いよいよ今日が治療の初回。

"血圧高め、頻脈傾向。言葉にはしないが、治療への不安が強い様子。生田先生より安定剤の服用を勧められ、本人の希望もありAM2:00服用"

出勤して申し送りを受けた後、薬のおかげで眠れているAをチラッと見てからメモを残して、ひとまず仕事を片付ける。

佐久間「慎太郎〜Aちゃんコール！行ける？」

「はーい！これ終わったら行ってきまーす！」

苦手な電子カルテと格闘していると、佐久間くんから声をかけられる。

佐久間「ほいほい、後はやっといてあげるから！先に行ってきな？」

ニカッと笑ってそう言ってくれたから、お言葉に甘えることにした。

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トントンとドアがノックされて、入ってきたのは優しい笑顔の慎ちゃん。

森本「おーはーよ！気分はどうですかぁ〜？よく眠れた？」

夜に飲んだ薬のせいで、まだ頭の中はぽやぽやしてる。

「ん？んぅー、うん。」

森本「っふふ…まだ眠いね〜。ちょっとだけ、おてて貸して？」

ふぅーって息吐いててね〜って声を聞きながら、チラッと見えたカレンダーの今日には、がんばれ！のガッツポーズマーク。

「しんちゃーん、何時から？」

なにが、なんて言わない。

森本「お昼ごはんの前に終わらせちゃおうかって。もうすぐきょもが来るから、来たら樹呼んでくるね。みーんなついてる、大丈夫よ、だいじょうぶ。」

「うん。みんなが、助けてくれるから。がんばる…！」

朝食を食べて、朝の吸入も終わって、胸のドキドキを必死に抑えるこの時間が地獄みたいで、過去問の解説動画を再生。

もともと嫌いじゃなかったけど、こうやって何も考えずに無心になれるから、勉強は今の私にとって最高の気分転換。

ーお、こないだできなかったところ解けてるじゃん。

真っ白だったノートが半分埋まったくらいで聞こえた、たいちゃんの声。

京本「おはよ。思ってたよりも顔色いいね。キリのいいところまで解いたら樹呼ぼっか。」

「おはよ…。ん、じゃあここまでに、する。」

自分で決めたところまで、ちょこっと時間をかけて解いていく。

その間にたいちゃんは持ってきてくれた洗濯物の整理なんかをしてくれて、ふわっと香ってきたお家の匂いが、なんだか恋しくて。

京本「ふふ、はい、どーぞ？応援団から預かりましたー！」

そう言って渡されたのはジョージの顔が刺繍されたタオル。

ふわふわのそれに顔を埋めて、思いっきり息を吸い込んだ。

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