STory 6 (ページ32)

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森本side

ーガシャーーン！！

ーあ゛あぁぁー！

何かが倒れた大きな音。
その後すぐに続く、愛おしいAの、聞きたくないような苦しい叫び声に思わず身体がビクッと揺れる。

夏目「…森本、いける？あれだったら、私いこっか。」

そう言って微笑む先輩についつい甘えたくなるけれど、今行かないと後悔しそうだと思った。

「いや、俺が行きます。すんません、ありがとうございます…！」

駆け足で病室に向かうと、床に散らばる筆記用具や参考書、その先になぎ倒された点滴スタンドがあって。

未だ絶叫するAをベッドの上で抱きしめてくれていたのは、斗真先生だった。

斗真「嫌だったね…苦しいね…うん、うん。そうだね…。だいじょうぶ。だいじょうぶ。」

Aの背中越しに目があって、こくんと頷いてくれたから、俺はとりあえず散らかった物を片付ける。

綺麗にまとめられていたノートはだんだんと赤が増えて、最後のページはグリグリと黒で塗りつぶされている。

まるでAの心の中みたいだな…って思ったらなんだか無性に抱きしめてやりたくなった。
俺って単純だからさ、こうって思ったらそれしか考えられないんだよね。

少しだけ落ち着いたAの正面に回って、斗真先生と交代で小さく震える身体を力強く抱きしめる。

Aが大好きだよ、大切だよ、守りたいんだよって、伝わるように、ぎゅっと。

俺の力に勝てるもんならやってみろ。
ぜってぇ離してやんねぇから。

バタバタと暴れていた身体から徐々に力が抜けて、ぐすぐす泣きながらAが俺の背中に手を回した頃には、なんだか俺もちょこっと泣けた。

それから樹が来て、きょもが来て。
点滴の針で傷ついた腕を消毒されて、また泣いて。

斗真先生から連絡もらったって、高地と北斗、それからジェシーも来たらもう大変。

俺らを突っぱねてたお嬢さんはどこに行ったんだろうね？

交代で抱っこして、ベッタベタに甘やかされて、点滴する時なんてジェシーにまで頭撫でられてさ。

ジェ「俺が、よしよししてあげるから！Aはおめめ、とじてて？ずっとパワーためてたから、ぜんぶAにあげる！」

そう言ってAを抱きしめるジェシーが、もしかしたら1番強いのかもしれないな、なんて。

突き放されて何もできなかった俺らだけど。
それでも、Aが久しぶりに俺らと笑ってくれたから。

みんなで乗り越えていこうね。

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