STory 6 (ページ28)

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ーA〜おはよう。今日はいい天気だよ！

慎ちゃんの声

ーそろそろ起きろ〜ジェシーも待ってんぞ？

樹くんの声

ー湯加減はどうですか？あったかくて気持ちいいね〜！

聡ちゃんの声

ふわふわ、ふわふわ
みんなの声が聞こえたり、聞こえなかったり。

ふわふわしてた頭がだんだんスッキリするのと一緒に、ずんずんと重くなる身体。

生きてるっていうか、生かされてる、そんな感じ。
ずっとこのままなのかな〜とか、ふわふわの時に戻りたいな〜とか考えたけど。

でも、みんなの声を聞いてると、やっぱり会いたいって思っちゃうから不思議だよね。

ゆっくり目を開けると、痛いくらいの明るい光。
何度か瞬きをして目が慣れてくると、ここがICUだってことが分かった。
だってほら、聡ちゃんがいる。

私の足元の方でパソコンに向かう聡ちゃんをじーっと見てると、パチッと目があって大きな目がもっと大きくなった。

聡「Aちゃん…！おはよう、頑張ってくれてありがとうね…、！先生来るから、もうすこーし起きてて待ってようね？」

頑張ったね〜よかった〜って優しく撫でられたら、もう我慢できなくなって。
パタパタと音を立てて走ってくる風磨先生を待てずに、ふわふわの世界に旅立った。

それからは、目が覚めて、また眠って…の繰り返し。
タイミングよく櫻井先生や風磨先生に会える日もあれば、ベッドの周りに飾られたジェシーからのお手紙をひっそり読む日もあった。

そして今日。
やっと、私を助けてくれてたチューブが、ズボッと抜かれた。

抜かない方がいいんじゃないかって思うくらいに苦しいし、オエってなるし、聡ちゃんの5秒は長すぎたけど、大好きな樹くんと顔を近づけてぎゅーできたから良しとする。

田中「ほんっとに…よく頑張ったな。あとちょっとここで頑張ったら、いつものお部屋に行けるから…。ふはっ！んな顔すんなって…！風磨が泣くよ？」

やだ…。
風磨先生も好きだけど、やっぱり樹くんがいいもん。
たいちゃんも、慎ちゃんも、ほくちゃんもこーちも。ジェシーにも早く会いたいの！

目の前の樹くんにそう伝えたいのに、私の口からはカスカスの息が漏れるだけ。

田中「ずっと管が入ってたから、声が出にくくなっちゃったな。焦んなくていいから、ゆっくり少しずつ、な？」

樹くんの言葉に素直に頷けば、おりこうさんって撫でられる。

早くみんなと会いたい。
早くみんなと話したい。

早く学校に行きたい。
早く勉強がしたい。

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