STory 6 (ページ26)

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高地side

「A〜、きたよ。おはよう、気分はどう？…こないだよりも顔色いいね。ジェシーからの手紙、ここ貼っとくからな〜。」

風磨「おーっす。今日は高地なのね。朝から松島が手浴したら、心なしか表情が明るくなったって。気持ちよかったですか〜？」

「だから顔色いいのか。よかったな〜A！じゃあ仕上げのハンドクリームでも塗る？目覚めてカサカサになってたらキレそうだもんな、お前。」

何度も点滴を差し替えたせいで、赤黒い痣がある手をとって軽くマッサージ。
アロマも配合されたクリームを伸ばしていれば、反対の手は風磨が塗ってくれていた。

救急搬送された日から今日で10日目。
未だに人工呼吸器は外せないけど、重症個室を出て、こうして触れる場所まで戻ってきてくれたA。

少しずつ気管支の炎症も治ってきて、そろそろ覚醒させてもいいかもなって話になっている。

よく頑張ったわ、マジで。
今回ばかりは俺も、いらんことまで考えてしまったから。

ICUにいるうちはジェシーが面会できなくて、あいつも必死に我慢してるんだ。
毎日届くラブレターのおかげでAのベッド周りは色鮮やかに飾られているから、看護師さんの中にもちょっとしたファンができてるらしい。

もともとあいつもここにいたからね。リハビリの成果を見せれて俺たちも嬉しいんだ。

風磨「…お前らは？ちゃんと食って、寝てんの？見る限りそんなに弱ってなさそうだけど。」

そう言って俺の手首をさりげなく握ってくるんだから、油断も隙もあったもんじゃない。

「やーめろって！お前が心配してるようなことにはなってないから、まじで。ジェシーのおかげだよ…。あいつがいてくれるから、飯のことも風呂のことも考えられてるし。」

「リビングに布団敷いて、全員で雑魚寝してんの、今。これもあいつの案。みんな一緒がいいー！ってさ、毎日真ん中で幸せそうに寝てんのよ。」

まじ？かわいいなーなんて風磨の返事を聞いていたら、なんだかペラペラと喋ってしまう。

「ジェシーがさ、言うんだ。Aのお願いだから、たくさん食べてたくさん寝てって。こいつさ、自分がこうなった時に俺らがどうするか分かってたんだろうね。ほんと、生意気なやつ…。」

風磨「んはっ！もう…。お前らって本当、いい家族だよな。」

泣くつもりなんてなかったのに。

風磨の言葉に、我慢していたものが溢れてしまった。

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