STory 6 (ページ23)

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ﾋｭｰ…ﾋｭｰ…

北斗「A〜、ちょっと身体起こそうか。そのまま俺に寄りかかっていいから。ん、そうそう、すぐ苦しいのなくなるからなー。ゆーっくりお薬吸って。目は開けときなさい！」

いつのまにか部屋にいたほくちゃんが、いつのまにか部屋に置かれたネブライザーのスイッチを入れた。

あぁ、私が電話かけたんだっけ…

息ができなくて、死んじゃうかもって思ってたのは夢じゃなかったのか…。

高地「Aー！A！わかる？わかるね？そのまま起きとくんだよー！こっちの手、ちょっとチクッとするぞ…。」

そんな、バシバシ、たたかないでよ…
また点滴。制服から、絆創膏見えるから、やなのに…。

ちょこっとだけ楽になったら今度は睡魔が襲ってきて、起きとけよ！って声は聞こえたけど、戦おうとは思わなかった。

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朝。珍しく自分ひとりで起きれた！と思ったけど、誰も起こしてくれなかっただけだと気づいたのは、スマホのホーム画面に10の数字が浮かんだから。

「は！？遅刻じゃん！！」

超特急で制服に着替えてリビングに降りると、ソファーに座ってテレビを観ている慎ちゃんがいた。

「神様仏様慎太郎様！遅刻だよぉ…！学校まで送ってほしいです！！」

とりあえずファンデと眉毛だけでも…、朝ごはんはいいや。
3限目からは間に合うかな…あれ、参考書入れたっけ？

忘れ物！って階段を駆け上ろうとした時、パシっと腕を掴まれた。

森本「Aさぁ、今日休みだよ？北斗が学校には連絡してるってさ。今日はゆっくりお家で過ごす日。わかってる？」

？？？

慎ちゃん何言ってんの？

「え？なんで、勝手に休みになってんの…？意味わかんない…。や、学校行くから。今の時期に休みなんて無理だよ…！」

そう言って手を振り払うと、頭上からため息が降ってきた。

森本「昨日の夜、ネブライザーじゃ太刀打ちできないくらいの発作出たの、覚えてないの？ほら、ここ。ステロイドの点滴打ったでしょ？」

森本「え、本当に覚えてない…？なんなら今も少し苦しいんじゃない？」

無言を貫く私の顔を心配そうに覗き込む慎ちゃんは、何も分かってない。
覚えてないわけないじゃん。あんなに苦しかったのに。
覚えてるに決まってるじゃん。点滴の絆創膏、さっき剥がしたもん。

でもさ、

「…覚えてない。慎ちゃん夢みたんじゃないの？苦しくないし、今日は模試の解説あるから絶対行かなきゃ。ごめんだけど、離して。」

今は、強がりたいの。

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