STory 6 (ページ20)

今日:57 hit、昨日:39 hit、合計:218,974 hit

４ページ20

高地side

向井「ジェシーくーん。よかったら、教室行ってみない？お部屋の外からちょこっと見るだけでもええし。どう？」

先生から話しかけられたジェシーは、教室って言葉に一瞬不安そうな顔を見せたけど、「こーじせんせ、も、いっしょ？」って。

もう心開いてんじゃん…。

「足疲れてない？車いすにしてもいいよ？」

連日の雨で麻痺が強いはずなんだ。たぶんもう歩くのはきついと思って、声をかけてみた。

学校で車いすに乗ることを嫌がっていたジェシーだけど、ここでなら身体の声を聞くことができるんじゃないかな…。

向井「なぁジェシー君。車いすに乗ることはさ、恥ずかしいことじゃないよ。ここには車いすだからって笑う人も困る人もおらへんから。自分のしたいようにしていいんよ？」

麻痺のある左足をぎゅっとつまむジェシーの右手を優しくつつんでくれる先生。

ジェ「車いす、がいい。ほくと、押してください…。」

北斗「もちろん。よし、こっちつかまって、せーの…」

自分の気持ちに素直になれたジェシーの顔は、なんだか晴れやかだった。

．

田中side

ジェ「それでね！こーじ先生がね！」

「お、おうおう。とりあえず飯食ってからでいい？」

ジェ「うん！じゃあじゅりと一緒におふろはいろーっと。」

支援学校の見学に行ってきたんだよな？

まるで遊園地にでも行ったかのようなテンションで話が止まらないジェシーは、すぐにターゲットをきょもにチェンジしていた。

「なんか、楽しかったみたいね。よかったじゃん…。」

北斗「ん。先生も素敵な考えを持った人だったし、クラスの子もすぐにジェシーを受け入れてくれてさ。まぁひとりしかいなかったんだけど。覗きに行っただけなのに、急遽一時間授業に参加までしてきたからね。」

やれやれって言う北斗だけど、今日の朝まで心配でたまらないって顔だったからさ。お前の笑顔で、行ってよかったんだって伝わったよ。

．

「今日は？どっちでいく？」

ジェ「すべるのこわいから、車いすにする。けど、学校では歩きたいから、クラッチも持っていく！」

「りょうかーい。後ろに引っ掛けとくね。」

車いすに乗ったジェシーの膝にリュックを乗せて、パチンとハイタッチ。

「いってらっしゃい。今日も楽しんでこいよ？お迎えは北斗な。」

ジェ「はーい！いってきます！」

ニコニコで車いすをこぐジェシーの視線の先には、これまたニコニコの向井先生。

今日もいい1日になりますように…。

．