STory 6 (ページ19)

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北斗side

「ちょこっとだけでいいからさ、一緒に行ってみない？車いすでもいいし、クラッチで歩いてもいいし、どっちも持っていってもいいんだって。」

ソファーに座るちっちゃな身体をそっと抱き寄せる。

ジェ「ほくと、ずっといっしょ…？ゆーご、も？」

高地「もちろん。ちょこっと先生とお話しておしまい！帰りにTWINでケーキでも食べよっか。」

ケーキって言葉を聞いてパッと顔をあげるんだから、かわいいやつ。

高地の運転で移動して、到着した特別支援学校。

大好きな学校が怖い場所になってしまったジェシーが、自分らしく生きられる場所を見つけてやりたくて。
深澤君の勧めもあって、一度見学をすることにした。

―こんにちは～。佐藤さん、ですかね？

車いすが通っても余裕なくらいの入り口に段差の無い下駄箱。まるでバリアフリーであることが当たり前のような空間に、あたたかさを感じる。

どうぞって俺たちにスリッパを出してくれた先生も、同じようなあたたかさを持っていた。

―ジェシー君はシューズ持ってきてくれた？がんばって歩いてるとこ、俺にも見せてくれへん？

ジェ「へへっ…いいよ？ほくと、シューズ出して！はやく！」

「スリッパは転んだら危ないから、怪我をしたら責任が取れないから」前の学校でよく言われていた、そんなマイナスな言葉はひとつもない、ジェシー自身を尊重してくれる言葉ばかり。

どこかほっとする関西弁の先生と楽しそうに歩き出したジェシーを見て、ちょっと泣きそうになったのは俺と高地だけの秘密。

1，2年生の担任をしてる向井先生。
俺らの話を聞いて、辛かったですねって目を潤ませるけど、なぜか嫌な気はしない。

正直言って前の学校の先生からは、同情の空気しか伝わってこなかったから。こうして自分事として考えてくれる先生に出会えたことがうれしかった。

向井「うちの学校では、障害の重さに関わらず2学年ごとで区切ってクラス編成をしています。知的な障害がある子と身体的な障害がある子、重い持病がある子、いろんな子がおりますけど、それはその子の個性ですから。」

「個性…。」

向井「そうです、個性。かわいそうだから、気の毒だからって誰が決めたん？って話ですよ。障害があってもなくても、みんな同じひとりの人間だから。ただちょっと手助けが必要なだけ、ただそれだけです。」

少し離れたところで遊ぶジェシーを見る笑顔は、太陽みたいだった。

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